
ホテルのリピーターを増やす6つの施策と成功事例
「また来たい」と思ってもらえるホテルと、そうでないホテル。その差はサービスの質だけではありません。
ホテル業界では、新規顧客の獲得よりもリピーターの維持が、安定した売上に直結します。しかし、宿泊体験を提供するだけでは、次の予約にはつながりません。チェックアウト後の顧客接点や、ポイントプログラムを活用した継続的な関係づくりが、リピーター獲得の鍵を握っています。
本記事では、リピーター比率を高めることに成功したホテルの事例をもとに、今日から使える施策を解説します。
目次[非表示]
- 1.ホテル業界がいまリピーター獲得に注力すべき理由
- 2.リピーター獲得がもたらす3つの経営インパクト
- 3.リピーター施策の効果は何で測る?押さえるべき5つのKPI
- 4.ホテルのリピーターを増やす6つの施策
- 4.1.1.継続的な情報発信で接点を絶やさない(ザイオンス効果)
- 4.2.2.ホテルマンのおもてなしで「感動体験」をつくる
- 4.3.3.多言語対応・バリアフリーなど顧客満足度の底上げ
- 4.4.4.ロイヤルティプログラム/ポイント制度を設計する
- 4.5.5.顧客データを活用しセグメント別にアプローチする(RFM分析・パレートの法則)
- 4.6.6.顧客フィードバックを収集し、改善サイクルを回す
- 5.リピート率の高いホテルの成功事例
- 6.リピーター戦略を支える仕組み「VALUE GATE」
- 6.1.VALUE GATEでできること
- 7.まとめ
ホテル業界がいまリピーター獲得に注力すべき理由
一般的に、宿泊施設のリピート率の目安は10〜30%とされています。高級ホテルや旅館では、40%以上を目指すケースも少なくありません。
リピート率と稼働率には密接な関係があります。リピーターは「また行きたい」という動機で予約するため、繁忙期だけでなく閑散期にも来訪してくれる傾向があります。そのため、リピート率が高い施設ほど、年間を通じて安定した稼働率を維持しやすくなります。
一方、新規顧客だけに依存した集客では、オフシーズンに稼働率が大きく落ち込むリスクがあります。リピーターを増やすことは、稼働率の「底上げ」と「平準化」の両方に効果的な施策といえます。
リピーター獲得がもたらす3つの経営インパクト
「また来たい」と思ってもらえるお客様を増やすことは、集客コストの削減から収益改善まで、経営全体にポジティブな連鎖をもたらします。
新規獲得より低コストで集客できる(1:5の法則・5:25の法則)
マーケティングでよく知られる「1:5の法則」によると、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかると言われています。さらに「5:25の法則」では、顧客離反率を5%改善するだけで、利益が最大25%向上するとも言われています。
💡 一度泊まってもらったお客様を大切にするだけで、集客費用を大幅に抑えられます。
新規のお客様を広告で呼ぶことも大切ですが、すでに「いいホテルだった」と感じているリピーターへのアプローチは、ずっとコストパフォーマンスに優れています。
OTA手数料を削減し、利益率を改善する(直予約化)
じゃらんや楽天トラベルなどのOTA(オンライン旅行会社)は、集客力は抜群ですが、予約1件ごとに10〜15%程度の手数料が発生します。リピーターに公式サイトやLINEからの直予約を促せれば、その分がそのまま利益に残ります。
💡 直予約率が10%上がるだけで、年間の手数料負担が数百万円単位で変わることも。
「次回は公式サイトの方がお得ですよ」というひと言や、会員限定の特典設定が、直予約化への大きな一歩になります。
口コミ・レビューによる「広告費ゼロ」の集客
満足したリピーターは、Googleマップや旅行サイトに自然と良いレビューを書いてくれます。さらに友人や家族への口コミも広がりやすく、これは広告費をかけずに新規のお客様を呼び込む最も効果的な方法のひとつです。
💡 「また来ます」と言ってくれるお客様は、最高のブランドアンバサダーです。
▶ リピーターへの投資は、最もROIの高いマーケティングです。一度来てくださったお客様との関係をどう育てるかという視点が、安定した経営の土台になります。
リピーター施策の効果は何で測る?押さえるべき5つのKPI
「施策を打ってはいるけれど、効果があるのかよくわからない」——そんな声をよく耳にします。リピーター促進の取り組みを正しく評価するためには、見るべき数字を決めておくことが大切です。経営判断に直結する5つのKPIをご紹介します。
LTV(顧客生涯価値)― 新規CPAだけで判断しない
LTVとは、一人のお客様が生涯を通じてもたらしてくれる売上の合計です。「1回の宿泊単価」だけを見ていると、本当に優良なお客様を見逃してしまいます。年に数回来てくださるリピーターのLTVは、単価の高い新規客を上回ることも珍しくありません。
LTV=平均客単価 × 粗利率 × 年間利用回数 × 継続年数
F2転換率(初回→2回目)
初めて泊まったお客様が、2回目に来てくれるかどうか——ここが、リピーター育成で最も重要なポイントです。F2転換率が低い場合、チェックアウト後のフォローや、次回来館を促すオファーが不足しているサインかもしれません。
F2転換率=2回目を利用した顧客数 ÷ 初回利用した顧客数 × 100
例)先月の初回宿泊者100人のうち、翌60日以内に再予約したのが20人 → F2転換率20%
💡「初回から60日以内に再予約した割合」を毎月チェックするだけで、改善のヒントが見えてきます。
リピート率・客室稼働率・RevPAR
リピーターが増えると、閑散期でも予約が入るようになり、客室稼働率が安定します。稼働率が上がると、1室あたりの収益(RevPAR)も改善します。この3つはセットで見ることで、「施策が経営数字にどう効いているか」を確認できます。
NPS(顧客推奨度)―満足度を数値で捉える
NPSとは(Net Promoter Score)は、「推奨者の正味比率」と呼ばれる指標です。たとえば、「このホテルを友人や家族に勧めたいですか?」という質問への回答をもとに算出するスコアです。満足度を感覚ではなく数値で把握できるため、施策前後の比較や、スタッフへのフィードバックにも活用できます。
💡NPSが高い施設ほど、口コミ経由の新規客も増える傾向があります。
▶ KPIは多すぎても管理が難しくなります。まずはF2転換率とLTVの2つから追いかけてみるのがおすすめです。数字で見えるようになると、次の施策のアイデアも自然と生まれてきます。
ホテルのリピーターを増やす6つの施策
リピーターを増やしたいと思っていても、「何から手をつければいいかわからない」という声は少なくありません。今回は、今日から実践できる具体的な6つの施策をご紹介します。すべてを一度にやる必要はありません。自館の課題に合ったものから、ひとつずつ取り組んでみてください。
1.継続的な情報発信で接点を絶やさない(ザイオンス効果)
人は、接触回数が増えるほど好意を持ちやすくなります。これを「ザイオンス効果(単純接触効果)」と呼びます。チェックアウト後も、メールやLINEでの季節のご案内、地域のイベント情報、スタッフのコラムなどを定期的に届けることで、お客様の記憶の中に「あのホテル」として残り続けることができます。
💡売り込みより「役に立つ情報」の発信が、来館意欲を自然に高めます。
2.ホテルマンのおもてなしで「感動体験」をつくる
人の記憶に残るのは「感情」です。設備やアメニティが整っていても、スタッフの一言や気遣いが宿泊体験の印象を大きく左右します。誕生日のお客様へのサプライズ、前回の宿泊内容を覚えたうえでの一言——こうした「人にしかできないおもてなし」が、「また来たい」という気持ちを生み出します。
💡感動体験は口コミにもなりやすく、新規集客にも波及します。
3.多言語対応・バリアフリーなど顧客満足度の底上げ
外国語対応やバリアフリー設備の整備は、特定のお客様だけでなく、すべてのゲストが「安心して過ごせる場所」という印象を高めます。インバウンド需要の取り込みにも直結し、リピーター層を広げる土台になります。
💡「また来たい」と思う前提は、「不便なく過ごせた」という体験にあります。
4.ロイヤルティプログラム/ポイント制度を設計する
ポイント付与や会員限定特典は、再来館の動機を仕組みとして設計できる施策です。「もう少しでステージアップ」「次回使えるクーポン」といった仕掛けが、次の予約を後押しします。大規模なシステム導入が難しい場合でも、スタンプカードや会員メール特典から始めることができます。
💡特典は「もらえる嬉しさ」より「次に来る理由」として設計するのがポイントです。
5.顧客データを活用しセグメント別にアプローチする
(RFM分析・パレートの法則)
「最近来ていないお客様」「年に複数回来るお客様」など、顧客を最終宿泊日・宿泊回数・利用金額(RFM)で分類すると、それぞれに合ったアプローチが見えてきます。パレートの法則が示すように、売上の8割は2割の優良顧客が生み出しています。その2割に手厚いケアをすることが、全体の収益を安定させる近道です。
💡全員に同じメッセージを送るより、「あなただけ」の一言が再来館を引き寄せます。
6.顧客フィードバックを収集し、改善サイクルを回す
アンケートやレビューを通じてお客様の声を集め、それを実際の改善につなげることは、施設への信頼感を高める最も誠実なアプローチです。「前回のご意見を反映しました」という発信ができれば、リピーターはさらに深いロイヤルティを感じてくれます。
💡フィードバックは「クレーム対応」ではなく「関係構築のきっかけ」として捉えましょう。
▶6つの施策はどれも、継続することで「また来たい」と思うお客様が少しずつ増え、安定した稼働率と収益につながっていきます。まずは自館が最も手をつけやすいものから、一歩踏み出してみてください。
リピート率の高いホテルの成功事例
星野リゾート
星野リゾートが一貫して大切にしているのは、「価格競争に巻き込まれない」という姿勢です。割引やポイント還元で集客するのではなく、ブランドや体験そのものに価値を感じてもらうことで、「また来たい」を生み出しています。
施設ごとにコンセプトを明確に打ち出し、「ここにしかない体験」を設計
地域の食・文化・自然を深く取り込んだプログラムで、何度来ても新鮮な発見がある
SNSや公式メディアを通じた世界観の発信で、来館前からファンを育てる
登録無料の「星野リゾートアカウント」を全施設共通で用意し、予約のたびに顧客情報がたまる仕組みを構築
💡「安いから来る」お客様ではなく、「ここが好きだから来る」お客様を増やす戦略です。
規模は違っても「うちならではの体験」は必ずあります。地元の食材を使った朝食、オーナーのこだわりが詰まった空間——それを言語化して発信するだけで、ファン化の第一歩になります。
アパホテル
アパホテルのリピーター戦略は、徹底したデータ活用と直予約誘導にあります。会員データベースを軸に、OTAに頼らない収益構造を作り上げています。
独自の会員プログラムでポイントを付与し、公式サイト・アプリからの直予約を促進
チェックイン時の有料アップグレードや館内サービスの案内など、来館後の追加購買を促す導線を設計
蓄積した会員データをもとに、来館頻度や利用傾向に応じたパーソナルなオファーを配信
💡会員化→直予約→データ蓄積→パーソナライズ、という好循環を仕組みとして設計しています。
大規模なシステムがなくても、「次回は公式から予約するとお得」という導線を作るだけで直予約率は変わります。まず会員登録の促進と、チェックアウト時のひと言から始めてみましょう。
リピーター戦略を支える仕組み「VALUE GATE」
ここまで、リピーター獲得の重要性や施策をご紹介してきました。では、それを実際に運用するための「仕組み」はどう整えればいいのでしょうか。株式会社トリニティが提供する「VALUE GATE」は、ホテル・旅館のリピーター戦略を一気通貫でサポートするポイント・会員管理のトータルサービスです。
VALUE GATEでできること
- 会員証のスマホ化:紙・プラスチックカードをデジタル会員証に。お客様のスマホで完結
- ポイント付与・管理:宿泊・館内利用に応じたポイント付与。系列ホテル共通のキャンペーンにも対応
- メルマガ・クーポン配信:顧客セグメントに合わせたメール配信やクーポン発行で再来館を促進
- 顧客データ一元管理(CRM):宿泊履歴・利用傾向を蓄積し、パーソナルなアプローチに活用
- 既存PMSとのAPI連携:ホテル管理システムや既存アプリとスムーズに統合が可能
- 最高水準のセキュリティ:金融機関が求めるティア4の高セキュリティで個人情報を安全に管理
トリニティのポイントサービス「VALUE GATE」は、ホテル業界のポイント管理に適しています。既存のホテル管理システム(PMS)とも連携が可能です。ポイント管理25年以上の実績を持つ株式会社トリニティが、導入から運用まで丁寧にサポートします。お気軽にご相談ください。
まとめ
リピーターを増やすことは、単なる「おもてなしの向上」だけではありません。コスト削減、直予約化による利益率改善、口コミによる新規集客——これらすべてが連動して、ホテルの経営を安定・成長させていきます。
本記事でご紹介した施策やKPIを参考に、まずは自館にとって最も取り組みやすいところから一歩踏み出してみてください。そして、顧客データの活用やポイント制度の整備を検討される際には、ぜひ「VALUE GATE」にご相談ください。
「また来たい」と思ってもらえるホテルづくりを、仕組みと数字で支えていきましょう。









