OTAとは?ホテルが活用するメリットや公式サイト直接予約の違いを解説!
目次[非表示]
- 1.OTA(オンライン旅行代理店)とは?
- 1.1.OTA の仕組み
- 1.2.JTB、HISとの違いは?
- 1.3.顧客がOTAを使う理由とは
- 2.OTAのメリット
- 2.1.(1)認知度の向上
- 2.2.(2)初期費用・掲載費用無料
- 2.3.(3)24時間いつでも予約可能
- 2.4.(4)チェックイン・アウト業務が簡素化できる
- 3.OTAのデメリット
- 3.1.(1)宿泊施設の魅力を伝えきれない
- 3.2.(2)手数料・オプション費用がかかる
- 4.代表的なOTA5選と手数料一覧
- 4.1.国内のOTAサービス
- 4.1.1.(1)じゃらんnet
- 4.1.2.(2)一休.com
- 4.1.3.(3)楽天トラベル
- 4.2.国外のOTAサービス
- 4.2.1.(1)Expedia.co.jp(エクスペディア)
- 4.2.2.(2)Booking.com(ブッキングドットコム)
- 5.公式サイトからの予約でOTAの手数料を削減
- 5.1. 顧客にとってわかりやすいサイトづくり
- 5.2.OTAから公式サイトへ誘導
- 5.3.広告やSNSなどで露出を増やす
- 5.4.顧客管理システムの導入
- 6.予約システムと連携ができるポイントサービス「VALUE GATE」
- 7.まとめ
OTA(オンライン旅行代理店)とは?
OTAはOnline Travel Agencyの略で、インターネットを通じて旅行関連のサービスを提供するいわゆる「オンライン旅行代理店」のことです。OTAは国内外の宿泊や航空券などの手配旅行に特化し、宿泊と航空を組み合わせたダイナミックパッケージ、施設と直接契約する宿泊仲介、旅行保険などを提供しています。顧客は24時間いつでも、膨大な数の商品を閲覧・検索でき、旅行会社が展開するような実店舗へ出向く必要がないのも特徴です。また、OTAとは実店舗をもたない旅行代理店のみを指します。
OTA の仕組み
OTAを利用するには初期費用がかからないため、小規模なホテルでも始めやすいです。予約の有無に関わらず、宿泊施設の情報を顧客に伝えるための広告として活用できます。OTAに登録する際、宿泊施設は施設の魅力を引き立たせるため、写真や設備に関する説明・エリアや周辺の観光スポットなど、詳細な情報を掲載します。OTAによっては、温泉の種類や泉質・決済方法・アクティビティなど、より詳細な情報も登録可能です。登録情報を基に、宿泊を検討する顧客に対して、条件に適した宿泊施設を提示します。最終的にOTAを介して行われた予約に対して、売上金額からOTAの利用手数料が差し引かれた金額が宿泊施設に支払われ、一定の振込スケジュールに基づいて収益が入金される仕組みです。
また、一般的に、宿泊施設を公式サイトから直接予約する際でも、多くの顧客が事前にOTAを利用して検索を行う傾向があります。これがビルボード効果と呼ばれ、宿泊施設の公式サイトで予約を行う前に、半数以上の人々がオンライン旅行会社のサイトを訪れて情報を収集しています。
JTB、HISとの違いは?
JTB、HISなどの旅行会社(リアルエージェント)との違いは実店舗があるかないかです。先述しましたが、JTB、HISのような実店舗がある旅行会社がオンラインで旅行商品を販売していても、OTAとは言えません。店舗に足を運ばなくてもインターネット上で全て完結するのがOTAです。また、24時間年中無休でサイトを見れるため、場所や時間に縛られずに旅行を計画することができます。
OTAの例として、国内では一休.comやじゃらん、海外ではExpedia.co.jp(エクスペディア)、Booking.com(ブッキングドットコム)などが挙げられます。
顧客がOTAを使う理由とは
OTAは、宿泊施設・レンタカー・アクティビティなど、さまざまな旅行関連商品を提供しています。これにより、顧客は1つのプラットフォーム内で旅行に関わる全ての手配を行うことができます。また、OTAは利用者の口コミや評価を掲載しているため、これを参考にして宿泊施設や航空会社の評判を確認できます。実際の利用者の体験を知ることで、信頼性の高い選択が可能となります。
OTAのメリット
OTAのメリットは次の4つが挙げられます。
(1)認知度の向上
OTAは国内だけでなく、世界中で幅広い需要があり、多くの人にアプローチできる利点があります。OTAに登録することで、予約が確定しなくても、次なる旅行の候補として視野に入る可能性が高まり、潜在的な需要の拡大につながります。さらに、複数のOTAに登録していることで信頼性が向上し、利用者にとっても安心材料となります。
(2)初期費用・掲載費用無料
OTAは宿泊が確定するまでは基本的に費用が発生しないため、掲載無料の広告として、宿泊施設にとって非常に利便性が高いと言えます。手数料率に関しても、一般的な旅行代理店の送客手数料率よりも安価な傾向があります。これが、宿泊施設にとってコスト面での魅力となり、OTAを利用するメリットとなります。
さらに、OTAが実施するSALEやキャンペーンも魅力の一つです。これらのキャンペーンに参加することで、広告費や販促費をかけて露出を拡大し、施設の認知度を向上させるチャンスが生まれます。特に、「直前割引」「早期割引」といったキーワードを活用してお得なプランを提供すれば、キーワードに合った特集ページに無料で掲載される場合もあります。
(3)24時間いつでも予約可能
実店舗での旅行代理店では、直接の相談や電話での問い合わせ対応が必須ですが、OTAを利用すればその手間もなく、空室があればいつでも、どこでも顧客の都合に合わせて予約を受け付けることができます。これにより、顧客は店舗に行かずとも、自分のタイミングで簡単に予約手続きを進めることが可能です。
また、販売済みの宿泊施設がキャンセルされた場合でも、システムが自動的にその空き部屋を再販売する仕組みが備わっています。これにより、販売機会を逃すことなく、即座に新たな予約を受け付けることができます。オンライン予約システムの柔軟性と自動化は、旅行業界においてスムーズで迅速な取引を可能にし、顧客により便利な体験を提供しています。
(4)チェックイン・アウト業務が簡素化できる
多くのOTAでは、クレジットカードやその他の事前決済システムが提供されており、これらを活用することで、宿泊施設はチェックインやアウト時の精算業務をスムーズに進めることができます。また、顧客にとってもクレジットカードで事前決済をすることで宿泊割引クーポンが利用できたり、OTA独自のポイント還元率が2倍になるなどというキャンペーンを利用できるメリットもあります。
事前決済は、顧客と宿泊施設の双方にとって便利で安全な取引手段となります。宿泊施設はチェックアウト時における支払い処理を迅速かつ円滑に行うことができ、顧客は滞在中に余計な手続きや面倒な精算を気にせずに快適な滞在を楽しむことができます。
OTAのデメリット
OTAのデメリットは次の2つが挙げられます。
(1)宿泊施設の魅力を伝えきれない
OTAは、顧客が分かりやすく宿泊施設を比較検討できるように施設情報を提示する仕組みが整っています。公式サイトのように自由に表記することが難しいため、クチコミ・価格・立地・設備などで他の宿泊施設と容易に比較されがちです。またOTAには限られたスペースや制約があるため、宿泊施設の魅力やサービスを十分に表現することが難しくなります。
その中で独自の特徴を活かして顧客から選ばれるためには、OTAにおけるノウハウや知識、そして最新のキャンペーンや特集などに関する情報を積極的に取り入れ活用する必要があります。
(2)手数料・オプション費用がかかる
初期費用や掲載料は発生しないものの、宿泊実績に応じた利用手数料を支払う必要があります。OTAの手数料は通常8%から18%の範囲に設定されています。これは、OTA経由の予約が増加すればするほど、支払う手数料も増加することになります。
さらに、競争の激しいOTA市場では、露出や訴求力を高めるための有料広告サービスも提供されています。これには数万円から数十万円するものもあり、宿泊施設がどのサービスを優先的に利用するかは集客目的に応じた判断が求められます。OTAを有効に利用することで集客力が向上する一方で、費用対効果を最大化するためには慎重な計画と柔軟な戦略が不可欠です。
代表的なOTA5選と手数料一覧
OTAサービス |
手数料詳細 |
じゃらんnet |
一人利用 8%-10% |
一休.com |
通常10.0% |
楽天トラベル |
一人利用 8.64%-10.64% |
Expedia.co.jp |
東京、大阪、京都(ホテル)事前18% 事前現地混合18% 現地のみ15% |
Booking.com |
通常12% |
国内のOTAサービス
(1)じゃらんnet
じゃらんnetは、(株)リクルートが運営する日本最大級のOTAです。20,000施設以上が提供する「宿泊プラン」や「日帰り・デイユースプラン」は、インターネット上で手軽に予約できます。また、各旅行会社が提供するパッケージツアーや全国の約9万件の観光スポット・イベント情報、そして会員による旅先での写真やクチコミ投稿など、幅広い旅行情報が充実しています。
さらに、共通ポイントサービスも利用可能で、「Pontaポイント」「dポイント」「リクルートポイント」などが使える点も大きな魅力の一つです。顧客にとって手軽で情報豊富な旅のパートナーとなっており、国内旅行をより楽しいものにするための手助けを提供しています。
(2)一休.com
一休.comは、「こころに贅沢させよう」をモットーとしたOTAです。高級感のある厳選されたホテルや旅館、レストランが登録されており、上質なサービスを提供しています。掲載には一定の基準があり、その基準をクリアした施設のみが登録できるようになっているため、他のサイトとの差別化を図っています。顧客は、楽天トラベルやじゃらんnetに比べて富裕層が多いことも特徴です。
また、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が実施したNTTコム オンライン NPSベンチマーク調査2023によると「ネット専業型旅行会社部門のNPSおすすめランキング」1位を獲得しています。
(3)楽天トラベル
楽天トラベルは、インターネットショッピングの大手「楽天グループ」が運営しています。楽天トラベルは、じゃらんnetに並び国内の宿泊施設の登録数が多いOTAで、ホテルや旅館の宿泊、旅行ツアー、レンタカー、高速バスチケット、航空券などの幅広い予約サービスを提供しています。また、海外旅行者向けには海外のホテル、航空券、海外旅行ツアーの予約も可能です。
楽天トラベルでは、宿泊施設に関して全国の有名ホテルや高級旅館だけでなく、ビジネスホテル、シティホテルからペンションまで、さまざまなタイプの宿泊施設の予約ができます。実際の利用者からのクチコミを5つ星形式で分かりやすく表示することで、安心して宿選びができるような工夫も施されています。楽天が有名かつ利用者が多いことからアクセス数も多いOTAとなっています。
国外のOTAサービス
(1)Expedia.co.jp(エクスペディア)
Expedia.co.jpは、アメリカに拠点を置くOTAです。もともとはマイクロソフト社の旅行予約システム部門の一つとして1996年に設立されました。Booking.com(ブッキングドットコム)やAgoda(アゴダ)、Airbnb(エアビー)などと並ぶ世界大手OTAとして有名です。航空券やホテル、交通手段と宿泊地を組み合わせたダイナミックパッケージを扱っていることが強みです。
2011年に、アジア最大級の格安航空会社「エアアジア」との合併会社として「エアアジア エクスペディア(AAE Travel Pte Lte)」が設立し、翌年には、その子会社として「エアアジア エクスペディアジャパン(AAEJapan)」が日本に設立されたこともあり、アジア全体での事業規模を拡大しています。
(2)Booking.com(ブッキングドットコム)
Booking.comはオランダに本拠を置くOTAであり、世界で最も売上の多いホテル予約サイト(2023年8月時点)として知られています。ホテルだけでなく、ゲストハウス、ロッジ、民泊、ホームステイなど、多岐にわたる宿泊施設を取り扱っています。さらに、航空券、レンタカー、タクシー、レジャー施設なども予約可能です。Booking.comは、200以上の国や地域で100万件以上の宿泊施設を提供しており、日本にも子会社が存在し、24時間年中無休の日本語対応カスタマーサポートも提供されています。Booking.comは幅広い旅行ニーズに対応し、利用者に便利で多彩な選択肢を提供しています。
公式サイトからの予約でOTAの手数料を削減
OTAは宿泊施設に高い集客力をもたらしますが、その一方で手数料が発生するデメリットがあります。そのため、手数料のかからない施設独自の公式サイトから直接予約を増やした方が利益率が上がり、販売管理の自由度も高まります。さらに、直接予約する顧客に対して、独自のポイントサービスや割引、キャンペーンなどを提供することで、忠誠心を高め、リピート予約を促進することも可能です。
ここからは公式サイトからの予約を増やすための施策をご紹介します。
顧客にとってわかりやすいサイトづくり
公式サイトに訪れる人の多くは、宿泊先を探している顕在顧客です。したがって、公式サイトでは直感的なわかりやすさと利便性を重視する必要があります。
施設全体の魅力を伝えることはもちろんですが、空室検索や予約手続きなどの使いやすさを考慮したサイトを作ることが望ましいです。また、ベストトレード保証(最低価格保証)を公式サイトに掲載することも顧客に対するメリット訴求に有効です。
これは、ホテル管理システムとの連携も必要になりますので、システム全体の構成を考える必要があります。
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OTAから公式サイトへ誘導
冒頭に記述した「ビルボード効果」にもあるように、OTAで検索した施設を予約する際、事前に公式サイトをチェックする傾向が高いです。OTAだけでは不十分な施設の情報を補うために公式サイトを訪れることが多いですが、その時にできるだけ直接予約へ誘導するようにしましょう。
例えば、上記に記載したようなベストトレード保証を明記したり、公式サイト経由での予約者限定で得られる特典や、ポイントサービスの提供などをアピールすることで、直接予約のメリットがより明確に伝わり、顧客が直接予約を選択しやすくなります。
広告やSNSなどで露出を増やす
OTAの利点は、その高い露出度にあります。OTAは広告やプロモーションを積極的に行い、旅行者の比較対象に簡単に載ることができます。一方で、公式サイトの場合は自ら広告やSNSなどを活用して認知を広げる必要があります。施設のブランドに合わせた魅力的な写真や動画などのコンテンツを定期的に発信することで、旅行者に宿泊の魅力をアピールすることができます。
顧客管理システムの導入
公式サイトを通じて予約を受けることは、自社の顧客を的確に把握できるという大きなメリットがあります。個人情報を適切に活用し、顧客満足度向上やリピーターを促進するために、効果的な顧客管理が欠かせません。
顧客の個々のニーズや好みを把握し、それに基づいて特別なサービスを提供することで、パーソナライズされたゲスト体験を実現できます。これは単なる宿泊体験を超えて、顧客との信頼関係を築く上で重要な要素となります。顧客管理は、宿泊施設が顧客との長期的な関係を構築し、その信頼を得るために欠かせない戦略です。
【個別対応が鍵】今注目のパーソナライゼーションとは?メリットや成功事例を紹介
予約システムと連携ができるポイントサービス「VALUE GATE」
例えば、自社サイトへの誘導を促進する施策として「10倍ポイント還元」を実施したとします。これは、OTAに支払う手数料の10%を顧客に直接還元することになり、顧客の満足度向上につながると考えられます。
トリニティの提供するポイントサービス「VALUE GATE」を活用することで、既存の予約システムなどとスムーズに連携できます。これにより、効果的なポイントシステムを導入し、顧客との信頼関係を深めながら、自社サイトへの集客を強化しています。
この施策は、手数料の一部を直接顧客に還元することで、直接予約を奨励し、同時に顧客にとって魅力的な特典を提供する戦略の一環となっています。
まとめ
今回は、OTAについて解説しました。従来の旅行会社との違いや需要の高さを理解していただけたことと思います。OTAは、サイトによって特徴が異なります。単純に複数のOTAへ掲載するだけでは、宿泊施設の販路拡大や売上アップには繋がりません。宿泊施設の特徴や目的をしっかり検討し、どのOTAサイトが適しているかを見極めることが重要です。
また、OTAだけでなく顧客管理やポイントサービスを活用し、公式サイトを通じた直接予約を奨励する戦略も非常に重要です。宿泊施設の状況と顧客が希望するプランや価格帯を考慮しながら、どの手段で集客するかを検討することが必要です。