ターゲットセグメンテーションとは?4つのステップや成功事例についてご紹介!
目次[非表示]
- 1.ターゲットセグメンテーションとは
- 1.1.ターゲットとセグメント
- 1.1.1.ターゲットは狙いたい顧客層のこと
- 1.1.2.セグメントは条件に基づいたグループのこと
- 1.2.STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)戦略について
- 2.ターゲットセグメンテーションが必要な理由3選
- 2.1.(1)顧客ニーズの多様化
- 2.2.(2)テクノロジーの進化
- 2.3.(3)売上よりも利益重視
- 3.セグメントを設定するための4要素
- 4.ターゲットセグメンテーションの4ステップ
- 4.1.(1)データ収集と分析
- 4.2.(2)セグメントの設定
- 4.3.(3)セグメントの評価
- 4.4.(4)セグメンテーション戦略の策定
- 5.顧客分析に活用できる顧客・ポイント管理システム「VALUE GATE」
- 6.ターゲットセグメンテーションの成功事例
- 6.1.ワタベウェディング株式会社 様
- 6.2.株式会社すき家
- 7.まとめ
ターゲットセグメンテーションとは
ターゲットセグメンテーションとは、顧客を性別、年齢、居住地、嗜好、そして価値観などの情報に基づいて細かく分類し、ターゲットを絞り込むことを指します。ターゲットが持つ特性を明確にすることで、より効果的なマーケティング戦略を立てることができるため、重要視されています。
商品やサービスを売りたい場合、まずそのターゲットを特定するために年齢や性別、地域に応じて顧客をグループ化し、そのグループごとに共通の特性を探します。商品やサービスに関心を持ちそうな顧客を絞り込み、顧客に合わせた戦略を立てることで、販売コストを抑えながら成果を上げることが期待できます。
また、ターゲットセグメンテーションを実施することで、顧客満足度の向上や企業の競争力強化にも寄与することが期待できます。
ターゲットとセグメント
ここからは「ターゲット」と「セグメント」について基本的な考え方をご紹介します。
ターゲットは狙いたい顧客層のこと
ターゲット(target)は、直訳すると「標的」という意味を持ちますが、マーケティングにおいては商品やサービスを販売したい対象となる顧客を意味します。その対象となる顧客を明確に定めることを「ターゲティング(targeting)」といいます。ターゲットが明確に定まっていると、特定の顧客に向けたマーケティング戦略を実施できるため、ビジネスの成功につながります。
セグメントは条件に基づいたグループのこと
ターゲティングを実施するために欠かせないのが、「セグメント(segment)」の設定です。セグメントは、顧客を年齢や性別、地域、嗜好、価値観などの特性に基づいたグループ分けを意味します。セグメントされたグループには共通点があり、その共通点を把握することで、正確なターゲティングが可能になります。
STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)戦略について
ターゲットやセグメントについて説明する際に切り離せないのが、フィリップ・コトラー氏が提唱した「STP戦略」です。この戦略は、マーケティングの基本的なフレームワークである「セグメンテーション」(市場を細分化すること)、「ターゲティング」(特定の顧客層を選択すること)に加えて、「ポジショニング」(競合との差別化した自社の位置づけ)が含まれます。セグメントを明確にし(S)、それからターゲットを特定する(T)というステップを踏むことで、どの顧客層に焦点を当てるかが明確になります。そして、自社の独自性や価値といったポジショニング(P)が販売するときのアピールポイントとなります。
ターゲットセグメンテーションが必要な理由3選
ターゲットセグメンテーションがマーケティングに必要な理由を3つ紹介します。
(1)顧客ニーズの多様化
従来は、便利な商品・サービスを低価格で大量生産し、テレビや新聞といったマスメディアによって広める時代でした。現代は、スマートフォンやSNSの普及により、個々の購買行動も大きく変化し、顧客ニーズは多様化しています。
このような状況から、従来のマスマーケティングではなく、細分化された顧客ニーズに焦点を当てたターゲットセグメンテーションが求められています。ターゲットセグメンテーションは、それぞれの顧客が持つ異なるニーズや特性を理解し、それに合った戦略やコミュニケーションを展開します。多様化したニーズに応えるためにも、ターゲットセグメンテーションは欠かせません。
(2)テクノロジーの進化
インターネットの普及により、多くの情報にアクセスできるようになりました。そのため企業は、顧客の嗜好や購買行動に関するデータを取得し、分析して活用する「セグメンテーション」が一般的となっています。他社との競争が激化する現代では、自社のファンを奪われないためにも、テクノロジーを活用したターゲットセグメンテーションが不可欠です。例えば、AIを用いて大量のデータから顧客の嗜好を洗い出し、データに基づいて顧客が必要とする情報を発信したり、最適なタイミングでクーポンやセールを開催したりすることで最大限の効果が期待できます。
このようなアプローチにより、企業は顧客の期待に応え、顧客との関係を築けます。結果として、顧客満足度の向上や市場シェアの拡大につながります。
(3)売上よりも利益重視
ターゲットセグメンテーションは、費用対効果が高いといわれています。従来のマスマーケティングと比較しても、効果的かつ低コストで成果を上げることが可能です。ターゲットセグメンテーションにより、顧客のニーズや行動パターンを理解し、その情報に基づいたマーケティング施策を展開できれば、限られた予算の中でも最大限の利益を得ることが可能となります。ターゲットセグメンテーションによる「選択と集中」戦略は、成熟した市場で成功するための重要な手法といえます。
セグメントを設定するための4要素
セグメントを設定する際には、以下のような要素が必要と言われています。
変数の分類 |
説明 |
地理的変数(ジオグラフィック変数) |
国や都市、地域といった地理的な条件に関連する特性。 |
人口動態変数(デモグラフィック変数) |
性別や年齢、家族構成、職業、収入といった人口動態に関連する特性。 |
心理的変数(サイコグラフィック変数) |
価値観や嗜好性、性格といった心理的な状態に関連する特性。 |
行動変数(ビヘイビアル) |
人の行動パターンに関連する特性。 |
(1)地理的変数(ジオグラフィック変数)
地理的変数(ジオグラフィック変数)とは、国や地域などの地理的な要因に関連する指標のことです。例えば、食料品や衣類、家電製品などの商品は地域によって消費ニーズが異なるため、これらの地理的な要素を考慮することが重要です。地理的変数を理解することで、事業展開の計画や戦略をより効果的に立てることが可能になります。
地理的な条件は、人々の生活スタイルや消費行動に深く関わるため、企業は地理的変数を適切に分析し、市場調査に活かすことが求められます。
(2)人口動態変数(デモグラフィック変数)
消費者ニーズの多くは、年齢や性別などの人口動態変数(デモグラフィック変数)と密接に関連しています。特に不動産業界においては、人口動態変数を活用することが、効果的です。
例えば、大学へ進学する娘を持つ家庭に対して、「女子大学生向けに、大学から近くてセキュリティがしっかりした新築アパートの案内状を送付する」という具体的な施策が考えられます。このように特定の人口動態グループのニーズや好みに合わせた情報が、顧客の関心を引き、購買意欲を高める効果が期待できます。
顧客ニーズを理解し、それに合わせた戦略を展開するためには、人口動態変数の活用が不可欠です。これにより、パーソナライズされた商品やサービスの提供が可能となり、顧客満足度の向上にも寄与します。
(3)心理的変数(サイコグラフィック変数)
心理的変数(サイコグラフィック変数)は、性格や価値観など心理傾向によって顧客をセグメントする指標です。これまでは判断が難しかった指標ですが、データ解析技術の進歩により精度の高い分析が可能となりました。
心理的変数を活用した具体例として、「健康志向に焦点を当て、無農薬の野菜を販売する」という戦略があります。このアプローチでは、顧客が健康に対する意識が高いことを理解し、それに応じた商品を提供することで、顧客の関心を引き、購買意欲を高めるという戦略です。
顧客の心理的変数を正確に理解し、それに基づいたマーケティング活動は、顧客との信頼関係を築き、リピーターにつながるための重要な要素となります。
(4)行動変数(ビヘイビアル)
行動変数(ビヘイビアル)は、購買歴や商品・サービスに関する知識などを示す指標です。「この顧客は3カ月おきに利用する」「この顧客は毎月利用する」というように、顧客の利用頻度に応じたマーケティング戦略を策定・実行することが望ましいです。
ターゲットセグメンテーションの4ステップ
(1)データ収集と分析
初めに、ターゲット市場の理解が必要になります。データの収集と分析は、ターゲティングセグメンテーションを実施する上で基盤となるステップです。人口統計情報や顧客行動データ、市場規模や競合情報などから情報を集められます。
収集した情報から、セグメンテーションに利用する変数を選択します。上記で紹介した4つの変数から適切なものを選択してください。選択した変数を分析し、どのような特徴を持っているかを把握します。
(2)セグメントの設定
分析した変数を元に、セグメントを作成します。同じ特徴を持つグループをまとめ、セグメントを作ります。例えば、購買行動が類似しているグループや、同じ年齢層でライフスタイルが似ている顧客などを同じセグメントに分類します。
(3)セグメントの評価
設定したセグメントが、目的に合致しているかを評価します。それぞれのセグメントが、十分な市場規模を持っているか、特定の需要に応えているかなど、様々な観点から行いましょう。
セグメントを評価した後は、セグメントのパフォーマンスを継続的に監視し、必要に応じて改善します。
(4)セグメンテーション戦略の策定
評価を元に、最終的なセグメンテーション戦略を策定します。各セグメントに対して、それぞれ異なるマーケティング戦略を設計することで、それぞれに合ったアプローチを取ります。また、セグメントの評価と改善策の実施は定期的に行い、市場や顧客の変化に応じてセグメンテーション戦略をアップデートする必要があります。これによって、セグメントの成長を持続的にします。
顧客分析に活用できる顧客・ポイント管理システム「VALUE GATE」
トリニティが提供する顧客・ポイント管理システム「VALUE GATE」は店舗に設置されているクレジット端末にポイント機能を搭載し、レジでお客様にポイント付与・利用を行えるサービスです。また、会員情報やポイント付与履歴などのデータを管理サイトから見ることができ、ターゲットセグメンテーションに役立ちます。
VALUE GATEでよく使用されている分析機能
VALUE GATEにはレポート機能が搭載されており、定型レポートも充実しています。1ヶ月のポイント付与・利用実績や、キャンペーンの効果測定、属性別の集計など企業がPDCAを回すために必要な情報をグラフで見やすくお届けします。下記が、VALUE GATEのレポート機能でできる分析です。
- デシル分析
- RFM分析
- イベント分析
- 地区分析
また、以下の集計機能もご用意しています。
- 会員推移レポート
- ポイント推移レポート
- 発行ポイント集計
- 滞留分布集計(利用されていないポイント数の分布)
- 端末日別集計(端末ごとのポイント取引集計)
- ポイント失効集計
ターゲットセグメンテーションの成功事例
ターゲットセグメンテーションに成功している企業を紹介します。
株式会社ユニクロ 様
UNIQLO(ユニクロ)では、「LifeWear」という「生活を豊か・快適にする究極の普段着」をコンセプトに商品を展開しています。世界20ヵ国以上で展開しており、商品の企画から製造、販売まで一貫して全て行うというUNIQLOならではの強みがあります。商品は、顧客のニーズに着目してセグメントしており、トレンドではなく飽きのこない服や安価で手に入れられる普段着を求めるカジュアル志向・ベーシック志向の方をターゲットにしています。
その結果、老若男女全てのニーズに対応できたり、企画から販売まで一貫して行うことで低価格高品質な商品を提供しています。
ワタベウェディング株式会社 様
ブライダル業界の大手であるワタベウェディングは、国内外のリゾートウェディングの提供に特化しています。結婚情報雑誌やCM以外にWebでの集客に注力しており、相談窓口への来店予約やブライダルフェアへの予約につながるようなサイトを制作しています。
予約率の向上を目指し、Webサイトへアクセスする端末や時間帯、流入回数などでセグメントしたところ、セグメントによって行動に違いがあることが分かりました。現在、ワタベウェディングでは、それぞれのセグメントに合わせたコミュニケーションの実施で予約率を向上しています。
株式会社すき家
1982年神奈川県横浜市に1号店をオープンしたすき家は、日本国内店舗数最多の約2,000店舗を展開しています。
すき家では地域住民の食事情を外食(外部の料理を店舗で食べること)・中食(外部の料理を自宅で食べること・内食(自宅で料理をして食べること)の3つにセグメントしており、外食・中食市場やファミリー層をターゲットにしています。
店舗では、メニューを豊富に用意したり、ファミリー向けにテーブル席を用意しています。また、女性だけでも入りやすいように店内は明るい雰囲気を意識しています。その結果、他店舗との差別化に成功し、店舗数日本一といわれるほどの牛丼チェーンとなりました。
まとめ
ターゲットセグメンテーションとは、一言で表すと「市場の細分化」を指します。年齢、性別、職業、家族構成などの属性や購入履歴により顧客を細分化して、「どのセグメントに自社の商品が売れているか」を分析します。そこで見つけ出したセグメントを「ターゲット」に特定することでマーケティング施策に役立てることができます。ぜひ参考にしてみてください。