
ホテルがロイヤルティプログラムを導入するべき理由とは?
ホテルにおけるロイヤルティプログラムとは、宿泊客の継続的な利用を促し、ホテルへの愛着を高めるための制度です。ポイントの付与や会員限定の特典を通じて、宿泊客にメリットを提供することで、リピーターを獲得し、収益の安定化を図ることができます。
近年では、大手ホテルチェーンだけでなく、独立系ホテルや中小規模のホテルでも導入が進み、顧客データの活用によるパーソナライズされたサービスが重要視されています。
本記事では、ホテルがロイヤルティプログラムを導入するべき理由を解説いたします。
目次[非表示]
- 1.ホテル業界が抱える3つの課題
- 1.1.(1)価格競争の激化
- 1.2.(2)OTAへの依存
- 1.3.(3)宿泊客のニーズの変化
- 2.ホテル業界の課題を解決する「ロイヤルティプログラム」
- 2.1.宿泊客の囲い込みができる
- 2.2.ダイレクトブッキング(直接予約)を増やせる
- 2.3.ブランドロイヤルティを強化できる
- 2.4.会員データを活用できる
- 3.ロイヤルティプログラムの種類
- 3.1.ポイント制度
- 3.2.会員ランク制度
- 3.3.公式サイト予約限定の特典
- 3.4.航空会社のマイルと連携
- 4.ホテルのロイヤルティプログラムなら「VALUE GATE」がおすすめ
- 5.ポイントサービス「VALUE GATE」の導入事例
- 5.1.プレジデントハカタ 様
- 5.2.神戸ポートピアホテル 様
- 6.まとめ
ホテル業界が抱える3つの課題
ホテル業界は、旅行需要の回復や新たなビジネスチャンスが生まれる一方で、さまざまな課題に直面しています。
(1)価格競争の激化
宿泊客の多くが宿泊費用を重視する傾向が強まっており、ホテル業界では激しい価格競争が繰り広げられています。この状況の中で、ホテルは単純な値下げ競争に巻き込まれず、利益を確保しながら競争力を維持することが必要です。
多くのホテルでは価格だけでなく、サービスの質や付加価値を強化する戦略が重要視されており、無料の朝食サービスやレイトチェックアウトの提供、地域限定の体験プランを組み込むなど、価格以外の魅力を打ち出す動きが活発化しています。
今後のホテル業界においては、単なる低価格競争ではなく、「価格」と「サービス」のバランスを最適化し、宿泊客に選ばれる付加価値を提供することが生き残りの鍵となります。
(2)OTAへの依存
近年、多くの旅行者がOTA(オンライン旅行代理店)を利用してホテルを予約するようになり、ホテル業界ではOTAへの依存度が高まっています。楽天トラベル、じゃらん、Booking.com、Expediaといった大手OTAは、集客力が高く、多くの宿泊施設にとって重要なチャネルとなっています。その一方で、OTAを通じた予約が増えることで、ホテル側は手数料を支払う必要があり、利益率の低下が課題となっています。
さらに、OTA経由の予約では、宿泊客のデータをホテル側が取得できないことが多く、宿泊客との関係を深める機会が限られてしまいます。そのため、リピーターの獲得や、個々のニーズに合わせたサービスの提供が難しくなるというデメリットがあります。
(3)宿泊客のニーズの変化
ホテル業界では、宿泊客のニーズが大きく変化しており、従来の「立地の良さ」「快適な宿泊環境」「コストパフォーマンスの高さ」だけでは、旅行者から選ばれるホテルとは言えなくなっています。特に、デジタル技術の進化やライフスタイルの変化、新型コロナウイルスの影響で、宿泊客の求める価値が大きく変わりました。
サービス、いわゆる「おもてなし」の需要が高まっており、宿泊客に合わせた体験の提供が重要視されています。例えば、宿泊履歴や好みに基づいたルームアメニティのカスタマイズ、AIを活用したコンシェルジュサービス、アプリによるセルフチェックイン・チェックアウトなどが導入されることで顧客満足度の向上が期待できます。また、リモートワークやワーケーションの普及により、高速Wi-Fiやワークスペースの充実、長期滞在向けの設備が重要視されています。
これからのホテル業界では、宿泊施設としての役割だけでなく、宿泊客のライフスタイルや価値観に寄り添う存在として進化することが求められています。
ホテル業界の課題を解決する「ロイヤルティプログラム」
ホテル業界が直面する価格競争やOTAへの依存、宿泊客のニーズの変化といった課題を解決する手段の一つとして、ロイヤルティプログラムの導入が注目されています。
以下に、メリットや詳細を解説していきます。
宿泊客の囲い込みができる
ロイヤルティプログラムを導入することで、宿泊客との長期的な関係を築き、競合ホテルではなく自社ホテルを選び続けてもらう仕組みを構築できます。さらに、特典の魅力を高めることで、宿泊客の満足度が向上し、リピーターの増加につながることも大きなメリットです。例えば、会員限定の割引やポイント付与、部屋のアップグレード特典などを提供することで、宿泊客は特別感を感じることができます。
また、ロイヤルティプログラムを活用することで、宿泊客のデータを蓄積し、パーソナライズされたサービスを提供できるのも大きな強みです。例えば、過去の宿泊履歴や好みに基づいたおすすめプランを送ることで、宿泊客との関係を深め、長期的なロイヤルカスタマーへと育成できます。
ダイレクトブッキング(直接予約)を増やせる
ロイヤルティプログラムを活用することで、ダイレクトブッキング(直接予約)を増やすことができます。例えば、OTAよりお得な料金を設定して、会員限定の割引価格を提供したり、公式サイトからの予約者限定で割引コードを配布する方法です。単に「価格が安いから公式サイトを利用する」という誘導ではなく、公式サイト予約ならではの価値を提供することで、顧客に直接予約のメリットを感じてもらうことが重要です。
ブランドロイヤルティを強化できる
ホテルブランドに対する愛着を高め、宿泊客のリピート利用を促す効果も期待できます。例えば、会員ランク)制度を設けた場合、宿泊客が自分の会員ランクに特別感を感じることができます。
宿泊客は、「次はゴールド会員、次はプラチナ会員」といった目標を持ち、継続的に宿泊する動機を持ちます。また、ランクが上がることで、専用のチェックイン・部屋のアップグレード・ラウンジの利用などの特典を提供することで、ブランドロイヤルティを強化できます。その結果、顧客は自社ホテルに対して一貫した信頼と愛着を持ち続けるようになり、競合ホテルよりも自社ホテルを選ぶ可能性が高まります。
会員データを活用できる
会員データを収集・分析し、宿泊客ごとにパーソナライズされたサービスを提供できるようになります。従来の宿泊履歴に加え、好みや行動データを活用することで、宿泊客に合った体験を提供し、満足度を向上させることが可能となります。
ロイヤルティプログラムの種類
ホテルのロイヤルティプログラムには、いくつかの種類があり、各ホテルのブランド戦略やターゲット顧客に応じて異なる仕組みが採用されています。ここでは、代表的なロイヤルティプログラムの種類を紹介します。
ポイント制度
ポイント制度は、宿泊やホテル内の施設の利用金額に応じてポイントを付与し、たまったポイントを特典と交換したり、割引したりできる制度です。宿泊客にとっては、利用するほどお得になるため、特定のホテルを継続して選ぶ強い動機となり、ホテル側にとってもリピーターを増やす効果が期待できます。
この制度では、宿泊料金に応じてポイントが付与されるだけでなく、レストラン、スパ、ルームサービス、館内ショップの利用でもポイントがたまる仕組みが多くのホテルで採用されています。さらに、一定のポイントをためることで、無料宿泊やルームアップグレード、レストラン割引、スパの無料利用といったさまざまな特典を用意しているホテルもあります。
会員ランク制度
会員ランク制度は、宿泊回数や利用金額に応じて会員のランクが上がる仕組みです。例えば、ブロンズ→シルバー→ゴールド→プラチナといった階層を設定し、ランクが上がるごとに、より多くの特典や優遇サービスを受けられるようになります。
この制度の最大の魅力は、宿泊客に対して「より上のランクを目指す」というインセンティブを与え、継続的な利用を促すことです。例えば、ゴールド会員になると、レイトチェックアウトやウェルカムドリンクの特典が付き、プラチナ会員になると、客室のアップグレードや専用ラウンジを利用できるといった特典を提供すれば、ホテル滞在の満足度が向上します。
公式サイト予約限定の特典
多くのホテルがダイレクトブッキング(直接予約)を促進するために、公式サイト限定の特典を提供し、OTAとの差別化を図っています。例えば、「公式サイト予約なら宿泊料金が10%オフ」という割引特典は、価格を重視する宿泊客にとって魅力的な要素となります。
また、公式サイトからの予約でポイントがたまり、次回の宿泊に利用できる仕組みを導入することで、リピーターの獲得につなげることも可能です。公式サイトからの予約のみポイントを付与する仕組みを導入すれば、宿泊客はポイントをためるために公式サイトを利用するようになり、OTA依存を軽減できます。さらに多くのホテルでは、公式サイトが最もお得な価格であることを約束する「ベストレート保証」を取り入れており、より自社サイトからの予約を促進しています。OTAとのバランスを考慮しながら、公式サイト予約の魅力を高めることが、ホテル業界にとって重要な戦略となります。
航空会社のマイルと連携
マリオットやヒルトン、ハイアットといった大手のホテルでは、宿泊でためたポイントを航空会社のマイルと交換できる仕組みを導入しています。例えば、マリオットでは、3ポイントを1マイルに交換でき、提携する40以上の航空会社のマイレージプログラム(JALマイレージバンク、ANAマイレージクラブ、デルタ・スカイマイルなど)に対応しています。さらに、60,000ポイントごとにボーナスマイルが付与される特典もあります。
マイルとの連携は、出張や旅行が多い人に最適で、宿泊者はホテルと航空の両方でお得になるというメリットがあります。
ホテルのロイヤルティプログラムなら「VALUE GATE」がおすすめ
トリニティのポイントサービス「VALUE GATE」は、ホテル業界のポイント管理に適しています。既存のホテルシステムとAPI連携ができるため、ポイント管理や顧客情報の統合が容易です。これにより、宿泊予約からチェックイン、館内利用まで一貫したサービスを提供し、顧客体験の向上を図れます。「会員カードをスマホ化したい」「系列ホテル共通のポイントサービスを実施したい」などのご要望にお応えします。お気軽にご相談ください。
ポイントサービス「VALUE GATE」の導入事例
ここからはポイントサービス「VALUE GATE」を導入しているホテルの事例を紹介します。
プレジデントハカタ 様
プレジデントハカタ様は、福岡県博多市で5つのホテルを運営しており、主に40〜50代のビジネスマンを中心に利用されています。会員証はスマホ会員証とカードの両方を併用しており、幅広い顧客層に対応しています。
従来の会員サービスでは、顧客情報の取得が十分にできず、データ分析や販促活動に活用できていないという背景がありました。また、宿泊客に対して、キャッシュバックを行っていたものの、リピーターへ十分な還元ができていなかったという課題もあります。
今回、オールインワン決済端末「stera terminal」の導入が決定しており、それを最大限活用したいというご要望がありました。そこで、VALUE GATEを導入することで、以下のメリットが評価されました。
- stera terminal 1台で決済とポイント処理を一元化
- ポイントカードとスマホ会員証の併用が可能で、コストを抑えられる
- ホテルシステムとの連携実績が豊富で、柔軟なカスタマイズが可能
これらの理由から、VALUE GATEの導入が決定し、より効果的な顧客データ活用とリピーター向けの適切な還元施策が実現できるようになりました。
神戸ポートピアホテル 様
stera terminalの導入が確定していたため、この端末に対応したポイントサービスの導入が必須となりました。また、当社旧サービス(TCOS)でたまったポイントの引き継ぎに加え、磁気カードからスマホ会員証への移行も求められていました。
今回、VALUE GATEの導入が決定した理由は以下の点が評価されたためです。
- stera terminal 1台で決済とポイント処理を一元化
- 旧サービスで管理していた顧客情報の一部をスムーズに引き継げること
- 外部システムとの連携実績が豊富で、ホテル特有の機能をカスタマイズ可能なこと
特に、ホテル独自の運用に合わせたカスタマイズ性が高く評価され、導入を後押ししました。今後は、顧客の利便性を向上させるとともに、より優れた顧客体験を提供し、サービス全体の向上を目指していきます。
まとめ
本記事では、ホテル業界の課題とロイヤルティプログラムの重要性について解説しました。ホテル業界は、価格競争の激化、OTA依存、宿泊客のニーズ変化に直面しています。特に、OTAの手数料負担や宿泊客データの取得が難しい点が課題です。
ロイヤルティプログラムを導入すれば、会員特典やポイント制度でリピーターを増やし、収益を安定化できます。また、公式サイト予約の特典を強化し、OTA依存を軽減することも可能です。
今後のホテル経営では、価格競争に頼らず、ロイヤルティプログラムを活用した差別化が不可欠です。宿泊客に継続利用してもらえる仕組みを構築し、競争の激しい市場で生き残ることが求められます。本記事を参考に、ロイヤルティプログラムを活用し、宿泊客の満足度向上とリピーター獲得につなげてください。