
【2025年度】「商業施設」販促計画のポイントと成功の秘訣
2025年度の商業施設に求められる販促計画とは? 消費者の意識や市場トレンドが急速に変化する中、どのような施策が顧客の心を掴み、施設全体の価値を高めるのでしょうか。
本ブログでは、最新の動向を踏まえた具体的な販促ポイントや成功の秘訣をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.2025年度の消費動向と市場トレンド
- 1.1.物価高騰に伴う消費者の選択
- 1.2.健康へのこだわり
- 1.3.ESG(環境・社会・ガバナンス)の重視
- 1.4.デジタルシフトの加速
- 1.5.消費者の体験価値への注目
- 2.成功する販促計画の構築ステップ
- 2.1.目標設定
- 2.2.ターゲットの明確化
- 2.3.年間スケジュールの策定
- 2.4.効果的なプロモーションの実施と改善
- 3.季節ごとの具体的な販促アイデア
- 3.1.春(2025年4月~6月)
- 3.2.夏(2025年7月~9月)
- 3.3.秋(2025年10月~12月)
- 3.4.冬(2026年1月~3月)
- 4.商業施設の販促事例
- 4.1.ボーノ相模大野ショッピングセンター
- 4.2.イオンモール
- 5.効果測定と改善の仕組み
- 5.1.効果測定の重要性
- 5.2.目標設定に対する効果を検証
- 5.3.定量的効果と定性的効果も評価
- 5.4.改善策の立案
- 6.まとめ
2025年度の消費動向と市場トレンド
物価高騰に伴う消費者の選択
2024年は物価高騰が話題となった一年でしたが、意外なことに、帝国データバンクの「「食品主要 195 社」価格改定動向調査―2024年12月/2025年」によると、値上げされた品目数(12,520品目)は過去3年間で最も少なかったそうです。しかし、2025年1~4月に予定されている値上げ品目数は、2024年11月29日時点で3,933品目と予測されています。これは前年同時期の見通し(1,596品目)を大きく上回る数字で、2025年は「値上げラッシュ」の年になると見られています。
このような価格上昇の中で、消費者は「必要なもの」と「欲しいもの」を慎重に区別する傾向が強まっています。必需品はなるべく価格の安い選択肢を探し、嗜好品や贅沢品は購入頻度を減らすなど、購入行動における変化が見られます。商業施設では、これらの消費者心理を踏まえ、特別価格や数量限定のキャンペーンを打ち出すなどさまざまな施策を検討する必要があります。
健康へのこだわり
健康に対する意識の高さは2025年度も継続していくでしょう。消費者はオーガニック食品やヘルスケア商品、フィットネスなどへの関心を強めているため、商業施設での商品やサービスの充実が来訪を促すきっかけにつながります。
たとえば、年明けや年度初めの時期はその意欲も高まる傾向にあるため、関連するイベントの開催や、健康食品を対象としたポイントアップキャンペーンなどが効果的です。これにより、健康志向の消費者の心を掴み、施設全体の魅力を高めることができます。
ESG(環境・社会・ガバナンス)の重視
近年、消費者の関心はますます環境や社会的責任に向けられています。商業施設全体では、再生可能エネルギーの導入や廃棄物削減の施策が進められており、テナントレベルでもさまざまな取り組みが見られます。たとえば、ショッピングバッグの有料化やリサイクルプログラムの実施、地元食材を活用したメニューの提供、省エネルギー型のLED照明の採用などです。
こうした取り組みは、Z世代やミレニアル世代といった環境意識の高い層に強く訴求するだけでなく、施設全体のブランド価値を高める要因となっています。これにより、訪れる消費者に「持続可能な選択」を提供しながら、長期的な集客効果や顧客ロイヤルティの向上が期待できます。
デジタルシフトの加速
近年、デジタル化の波が商業施設にも大きな影響を与えていますが、今年は特に「2025年の崖」に直面する年とも言われています。これは、今後DXへの取り組みを推進していかなければ、2025年以降に最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると経済産業省が算出したものです。
「2025年の崖」問題
多くの施設では、データの活用が不十分であったり、オンラインとオフラインを統合した施策が煩雑化してしまうといった問題が浮き彫りになっています。商業施設では、施設内アプリやデジタルサイネージなどの活用がこれまで以上に重要になります。例えば、アプリを通じたクーポン配布やポイントプログラムの提供、店内ナビゲーション機能の充実化などが挙げられます。これに加え、SNSと連動したキャンペーンや、施設内での行動データを活用したパーソナライズされたマーケティング施策も必要不可欠です。
消費者の体験価値への注目
購買だけでなく、商業施設での体験価値を重視する消費者が増加しています。そのため、施設内での「体験型イベント」の開催や「映える」フォトスポットの設置が重要視されています。例えば、期間限定のコラボ展示イベント、体験型ワークショップ、ライブ音楽イベントなどは、来訪する価値を感じさせる要素となります。このような体験を提供することで、施設に対する顧客のロイヤルティを向上させることができます。
成功する販促計画の構築ステップ
目標設定
販促計画を成功させるためには、まず明確な目標設定が不可欠です。来場者数、売上、参加者数といった具体的なKPIを設定し、それに基づいて施策を展開します。例えば、年間の来場者数を前年比10%増加させることを目指す場合、月ごとの目標値を細かく設定することが重要です。また、短期的な目標だけでなく、施設全体のブランド価値や顧客満足度の向上といった中長期的な目標も併せて設定することで、販促活動の方向性をより明確にできます。
ターゲットの明確化
次に、誰に対して販促を行うのか、ターゲット層の明確化が重要です。例えば、家族連れ、若年層、シニア層など、主要な顧客層を分析し、それぞれのニーズや関心に応じた施策を立案します。ターゲット層をさらに細分化し、ペルソナを設定することで、効果的なメッセージやイベント内容を作成することができます。また、ターゲット層の購買データや行動データを活用し、パーソナライズされた施策を展開することで、高い訴求効果を得られます。
年間スケジュールの策定
効果的な販促計画には、年間を通じたスケジュールの策定が欠かせません。繁忙期や季節ごとのイベントを計画に組み込み、一貫性のある施策を実施します。例えば、春には新生活応援フェア、夏にはアウトドアイベント、秋には収穫祭、冬にはクリスマスやバレンタイン関連のイベントを実施することで、年間を通じて来場者の関心を引き続けることができます。また、事前に予算やリソースを配分し、各イベントがスムーズに運営されるよう準備を整えることも重要です。
効果的なプロモーションの実施と改善
各イベントやキャンペーンに合わせて、効果的なプロモーションを展開します。オンライン広告、SNSキャンペーン、地元メディアを活用した広報活動など、多岐にわたるチャネルを組み合わせて情報発信を行います。また、施設内外での告知物の設置や、アプリを活用した通知機能を駆使して、来場者へのリーチを最大化します。そして、施策を実施した後は、その効果を測定し、次回の計画に反映させることが重要です。
季節ごとの具体的な販促アイデア
春(2025年4月~6月)
春は新生活が始まる季節で、特に若年層や新規顧客層に向けたキャンペーンが効果的です。例えば、新入学や新社会人をターゲットに、特別割引や会員登録キャンペーンを展開することで、初めての利用を促すきっかけを作れます。また、桜や花々をテーマにした限定商品やサービス、SNSでの写真コンテストなども盛り上がりを生み、顧客の注目を集めやすいです。
夏(2025年7月~9月)
近年では、日本の気象変化が著しく「春・夏・夏・秋・冬」と表現されるように、長い夏が続くようになりました。この状況に対応する企業も増えてきています。
商業施設であれば、サマーセールやビアガーデン、水のイベントや縁日など夏のスポット的なイベントを少しだけ長く開催して、暑い夏を楽しんでもらえる場所にするのもいいですね。
SNSなどにハッシュタグをつけて投稿すると、ポイントが獲得できるキャンペーンを併用すれば、参加者が自分の体験を共有することで、友人や家族を誘いやすくし、口コミを活用した広がりを狙います。さらに、「夏限定デジタルバッジ」などのゲーム要素を加えると、顧客の参加意欲が高まるかもしれません。
秋(2025年10月~12月)
夏とは対照的に秋は短くなりましたが、過ごしやすく行楽シーズンに入るため、消費が活発になります。アウトドアグッズを充実させたり、秋の食材を使ったレシピを展開したり、夏に疲れた顧客をもてなす商品やサービスで集客を目指しましょう。また、秋の夜長に合わせて、「ナイトマーケット」や「月明かりのキャンプイベント」など、昼と夜で異なる魅力を楽しめるイベントを開催するのも効果的です。夜のひとときに特別な体験を提供することで、普段とは違った楽しみ方を提案し、リピーターを生むことができます。
冬(2026年1月~3月)
冬は「温かさ」や「癒し」をテーマにした販促が効果的です。寒い季節にぴったりな「冬のリラックス体験」を提案します。例えば、商業施設内で「冬の癒しスペース」を設け、アロマや温かい飲み物、リラクゼーション体験を提供することで、訪れた顧客にリフレッシュ感を提供します。寒さを和らげる温かい商品やサービス、そして「冬の特別体験」を通じて、顧客に冬の魅力を存分に感じてもらうことが、成功のカギとなります。
商業施設の販促事例
ここからは、具体的に実際の商業施設で行われている販促事例をご紹介していきます。
ボーノ相模大野ショッピングセンター
相模原市市制施行70周年記念×JAXA×ボーノ キッズ宇宙フェア
JAXA(宇宙航空研究開発機構)相模原キャンパスがある相模原市は、宇宙を身近に感じられるまちづくりを目指しています。市制施行70周年を記念して、JAXAとコラボした宇宙イベントがボーノ相模大野ショッピングセンターで開催されています。宇宙服を着て記念撮影ができたり、JAXAの研究者による宇宙教室が開かれたり、他では味わえない特別なイベントとなっています。
イオンモール
イオンモールでは、全国142施設の館内にウォーキングコースを設置し、季節や天候に関係なく安全に運動を楽しめる「イオンモールウォーキング」を実施しています。真夏や真冬でも安心して利用でき、クールシェアやウォームシェアスポットとしても役立っています。
さらに、スマートフォンアプリを活用することで、歩数や消費カロリーを簡単に管理できるほか、週間ランキングをチェックしてモチベーションを高めることが可能です。また、ウォーキングの歩数に応じて抽選に参加でき、当選するとWAON POINTがもらえる特典も提供されています。
効果測定と改善の仕組み
販促活動を成功させるためには、実施した施策の効果を正確に測定し、その結果をもとに改善を繰り返す仕組みが欠かせません。効果測定を行うことで、計画段階で設定した目標がどの程度達成されているのかを確認し、次回の施策に反映させることができます。
効果測定の重要性
効果測定は、単に結果を確認するだけではなく、施策の成功要因や課題を具体的に把握するための重要なプロセスです。これを怠ると、効果的でない施策を繰り返してしまう可能性があります。一方で、適切な効果測定を行うことで、どの施策が成果を上げたのか、どの部分が改善を必要としているのかを明確にすることができます。
目標設定に対する効果を検証
効果測定の基本は、あらかじめ設定した目標に対して施策がどの程度効果を発揮したかを検証することです。例えば、目標が「来場者数の10%増加」だった場合、その達成状況をデータで確認します。売上、購買点数、キャンペーン参加者数など、具体的な数値を用いることで、施策の効果を客観的に評価することが可能です。
定量的効果と定性的効果も評価
効果測定では、定量的なデータだけでなく、定性的な効果も評価することが重要です。例えば、来場者数や売上といった数値的なデータだけでなく、アンケートやSNSのコメントを活用して、顧客の満足度や施設へのイメージを把握します。数値で表せない「心地よさ」「楽しさ」といった要素も、長期的な施設の価値向上には大きく寄与します。
改善策の立案
効果測定の結果をもとに、次回以降の施策をさらに効果的にするための改善策を立案します。具体的には、以下のようなプロセスを踏むことが有効です:
- 成功要因の分析:効果が高かった施策の共通点や特徴を抽出し、次回以降の施策に取り入れる。
- 課題の特定:目標未達成の原因を洗い出し、改善点をリストアップする。
- 新たな戦略の導入:新しいツールやチャネルの活用を検討し、施策の幅を広げる。
- チーム内での共有:結果と改善策を関係者全体で共有し、一貫性を持った改善を実現する。
これらをPDCAサイクルの一環として実施することで、販促計画の精度を年々向上させることができます。効果測定と改善を繰り返し行うことで、競争が激化する市場環境においても持続的な成功を収めることが可能です。
まとめ
本ブログでは、2025年度の商業施設における販促計画のポイントと成功の秘訣について解説しました。消費者意識の変化や市場トレンドを的確に捉えたうえで、顧客のニーズを意識した効果的な販促施策を企画することが重要です。これにより、施設全体の価値向上や顧客満足度の向上、さらには持続可能な成長が期待できます。本記事が、次年度の販促計画策定におけるヒントとなれば幸いです。