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【2024年最新】商業施設で売上を上げるために有効な回遊施策について


目次[非表示]

  1. 1.商業施設における回遊施策とは
    1. 1.1.回遊施策の目的
      1. 1.1.1.(1)滞在時間の延長
      2. 1.1.2.(2)商業施設全体の売上向上
      3. 1.1.3.(3)顧客ロイヤルティの構築
  2. 2.商業施設で有効な回遊施策5選
    1. 2.1.(1)イベントの開催
    2. 2.2.(2)キャンペーンの実施
    3. 2.3.(3)デジタルサイネージの設置
    4. 2.4.(4)デジタル会員証(ポイント)の導入
      1. 2.4.1.顧客・ポイント管理システム「VALUE GATE」
  3. 3.回遊施策を行う際のポイント
    1. 3.1.(1)「商業施設」ではなく「体験施設」と考える
    2. 3.2.(2)ターゲットを絞る
    3. 3.3.(3)顧客フィードバックの収集と活用
  4. 4.回遊施策の成功事例
    1. 4.1.デジタルスタンプラリー(イオン株式会社)
    2. 4.2.体験型イベント(イオン株式会社)
    3. 4.3.ARを活用した展示(渋谷パルコ)
    4. 4.4.子ども向け謎解きイベント(阪急百貨店)
  5. 5.まとめ




商業施設における回遊施策とは

商業施設における回遊施策とは、顧客が施設内を移動し、滞在時間を延ばすことで売上向上を目指すための戦略や取り組みを指します。顧客が特定のテナントにしか滞在しなかった場合、他のテナントは見逃されるため、商業施設全体の売上にはつながりません。複数のエリアを訪れ、購買の機会を与える事で、「ついで買い」を促すことができます。

また、商業施設には複数のテナントが入っており、買い物だけでなく、商業施設内のさまざまなエリアやテナントを訪れることで、顧客の満足度を向上させることができます。しかし、一部のエリアだけに活気があり、入り口から離れたエリアは活気がないという状況は、顧客体験や商業施設の魅力を損なう可能性があるだけでなく、テナントの離脱もあり得るため、回遊施策の実施が重要になります。

回遊施策の目的

回遊施策には以下3つの目的があります。

(1)滞在時間の延長

顧客が長い時間施設で過ごすことにより、購買意欲が高まり、さまざまな商品やサービスが購入される可能性が高まります。滞在時間を伸ばすためには、例えば、商業施設内に銀行やクリニック、飲食店などを併設することが効果的です。さらに、豊富なテナント数や魅力的なディスプレイが飾られているなど、顧客を飽きさせない工夫も必要です。これにより、顧客は施設内を楽しみながら移動し、新しい発見を見つける可能性があります。商業施設内によくあるキッズスペースも滞在時間の延長につながっています。商業施設側が遊べる場所を提供することで、小さな子どもがいても安心して買い物をすることができます。

長時間の滞在は、顧客にとってより充実した体験を提供する機会を与えます。施設内でのさまざまなサービスやイベントを楽しむことで、顧客満足度が向上し、リピート率が高まります。

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(2)商業施設全体の売上向上

上記で説明したとおり、回遊施策を実施し顧客が長く滞在すれば、商業施設内での買い物や飲食などの機会が増えて施設全体としての売上が向上します。例えばスタンプラリーなどの回遊施策を通じて顧客が全エリアを移動したり、他テナントと連携したクーポン配布により相互送客を実現できたり、新たな購買の機会を創れるでしょう。このように回遊施策は、顧客の滞在時間の延長や販売促進だけでなく、商業施設全体の売上向上に貢献します。

(3)顧客ロイヤルティの構築

商業施設内でのイベントや特典は顧客満足度を高め、リピーターにつなげることが可能です。顧客に特別なイベントや割引、ポイント還元といった付加価値を提供することでプラスの感情を与えることができます。

また、イベントの実施は顧客とのコミュニケーションを取るには絶好の機会といえます。顧客は、他の顧客や施設店員との交流を通じて、コミュニティ感覚を築くことができます。コミュニティ感覚が構築されると、顧客が施設に忠誠心を持ち、リピーターとして継続的に訪れる可能性が高まります。

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商業施設で有効な回遊施策5選

ここからは具体的な回遊施策についてご紹介します。

(1)イベントの開催

商業施設におけるイベントは、滞在時間を延長し、購買の機会を増やすだけでなく、ターゲットである新規顧客の来店促進にも効果があり、他施設との差別化を図ることができます。また、子ども向けのイベントは家族での来店促進に効果的です。

子どもに人気のキャラクターショーでは、キャラクターがクイズやダンスなどのショーを披露し、子どもたちを楽しませてくれます。見て楽しむだけではなく、最後に握手会や写真撮影ができるため、ショーを目的に家族連れで来店する顧客も多いです。今まで、スタンプラリーが商業施設の回遊施策の主流でしたが、最近では謎解きのイベントを開催する商業施設も増加しており、子どもから大人まで楽しんで参加しています。周遊型の謎解きイベントでは、参加者が普段行かないテナントやフロアに足を運ぶきっかけとなり、商品購入につながる可能性もあります。

(2)キャンペーンの実施

商業施設全体でのポイントアップキャンペーンや、季節限定のサマーセール・ウィンターセールも回遊施策の1つです。1テナントの開催では、施設内を回遊してもらうことはできませんが、全体で開催することによって、複数のテナントを回遊してもらうことができます。また、「A店で購入したレシートに、B店の割引クーポンが付いている」といった買い周りクーポンの発行も効果的です。商業施設内のテナントが相互にクーポンを発行し合い、販売を促進することができます。

(3)デジタルサイネージの設置

デジタルサイネージは、ディスプレイやモニターを使用して画像や動画など魅力的なコンテンツを表示するいわゆる「電子看板」です。商業施設では、デジタルサイネージを活用することで、顧客の興味を引きつけ、滞在時間を延ばし、購買意欲を高めることができます。また、リアルタイムでの情報提供を表示できるため、タイムセール時などに特定のエリアへの誘導が可能となります。
一部のデジタルサイネージはタッチスクリーンを備えており、顧客が直接操作することができます。これにより、顧客は自分の興味に合った情報を選択し、より個別化された体験を楽しむことができ、他のエリアやテナントを訪れるきっかけにもなります。

(4)デジタル会員証(ポイント)の導入

施設内で使える独自のポイントサービスを導入することも回遊には効果的です。貯まったポイントは商業施設内の他のテナントでも利用できるため、さまざまなテナントへの来店や購買のきっかけになります。施設側は、顧客に対して個別化されたサービスや特典を提供できるだけでなく、テナントやイベントの情報提供、クーポンの発行、ポイントカードの管理などを行うことができます。

顧客・ポイント管理システム「VALUE GATE」


トリニティのポイントサービス「VALUE GATE」は、商業施設のポイント管理にも最適です。「会員カードをスマホ化したい」「テナントや施設ごとにポイント管理したい」などのご要望にお応えします。

VALUE GATEではポイントの付与・利用・取消などの基本的な操作に合わせて、顧客会員の情報を管理することができます。会員ランク機能では、利用頻度や金額に応じてゴールド会員、シルバー会員などに分類し、リピーターに向けた特典を用意することでロイヤリティ向上が見込めます。

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回遊施策を行う際のポイント

回遊施策には、そもそもの施設内のテナントの選定や配置、顧客の動線を考えた設計といった前提条件がありますが、ここでは回遊施策を実施する際の3つのポイントを紹介します。

(1)「商業施設」ではなく「体験施設」と考える

先ほど紹介したようにイベントを実施し、集客をして買い物をするのが自然な流れですが、商業施設に体験価値がないと顧客から飽きられてしまいます。顧客は、施設を訪れることで新しい感動や喜びを見つけたり、交流や学びの機会を得たりすることを期待します。そのため、体験施設は単なる商品の販売場所ではなく、コミュニティの中心地や文化的な拠点として位置付けられることが重要です。「この場所に行くと何かが体験できる」という体験価値を提供することが必要です。

(2)ターゲットを絞る

回遊施策を計画する時は、ターゲットを絞って考える必要があります。商業施設では、平日と休日で来店する客層が異なるため、それに合わせた施策が求められます。

平日は、子ども連れの主婦や学生などがターゲットとなります。この場合、主婦向けのポイントアップキャンペーンや地域の物産展、学生向けの割引などが効果的です。主婦向けの施策では、家庭の日常生活に役立つ商品やサービスを提供することで、顧客の興味を引きつけることができます。また、学生向けの施策では、学生が興味を持ちやすい商品やサービスを特別価格で提供することで、学生の顧客獲得を図ることができます。
一方、休日は家族連れがターゲットとなります。この場合、小学生向けの体験イベントやヒーローショーなど、家族全員で楽しめるイベントが効果的です。家族向けの施策では、子どもが喜ぶ体験やエンターテインメントを提供することで、家族での来店を促進することができます。

以上のように、ターゲットを絞った回遊施策を展開することで、より効果的に顧客を引き付け、商業施設全体の売上向上に貢献することができます。

(3)顧客フィードバックの収集と活用

回遊施策を行った際には、顧客フィードバックの収集と活用が欠かせません。顧客からのフィードバックを積極的に収集し、施設やサービスの改善に役立てることが重要です。
顧客フィードバックの収集は、アンケートやオンラインフォームを利用して顧客の意見や要望を収集する方法や施設内に設置した意見箱を利用する方法があります。収集した顧客フィードバックは、分析やレポート化を行い、商業施設内の関係者に共有しましょう。顧客の声に耳を傾け、施策の評価や改善に反映することで、顧客満足度を向上させ、回遊を促進することができます。

回遊施策の成功事例


デジタルスタンプラリー(イオン株式会社)

イオン株式会社の海外拠点イオンモール中国では、施設内回遊デジタルスタンプラリーを実施しました。樹木の育成を目指すためのデジタルスタンプラリーとなっており、顧客がスタンプを集めながら施設内を回遊し、「ついで買い」の促進や滞在時間の向上につながりました。

イオン株式会社では、人気アニメとのコラボレーションなどのデジタルスタンプラリーを積極的に開催しています。 デジタルスタンプラリーではオリジナルのキャラクターだけでなく、話題性のあるアニメとコラボするなど、より集客力の高い施策も可能です。

体験型イベント(イオン株式会社)

例として、2023年夏にイオンモール幕張新都心で開催された体験型イベント「小学館の図鑑NEO たんけん昆虫フェス」が挙げられます。昆虫フェスは、館内に配置された昆虫にちなんだデジタルアトラクションや巨大昆虫ロボットの森、昆虫の標本展示などを、子どもたちが探検し楽しみながら学ぶことができる体験型のイベントです。期間中には約9万人の家族連れが来場し、大盛況となりました。顧客に体験価値を感じさせることでより満足感を与える事ができます。

ARを活用した展示(渋谷パルコ)

2019年11月にリニューアル・オープンした渋谷パルコでは、ARを活用した様々な展示や企画を展開しています。例えば、「World’s end supernova」と名付けられたDiscount氏の作品は、水槽に見立てた空間が、利用者の操作によって様々に変化していく架空のシュミレーターをイメージしたもので、操作する人によって見えるものが変化します。

このように、リアルな空間を利用した、様々なARインスタレーションを展示する試みは顧客の興味を強く引き、PARCOのAR/VR展示は体験者数が1ヶ月で25,000人を超えています。

子ども向け謎解きイベント(阪急百貨店)

大阪の阪急百貨店で開催された、いきものについて学べる体験型のイベント「いきものの学校」は、夏休みの子ども向けイベントとして、商業施設内を回遊しながら謎解きを楽しめる企画となっています。イベントでは謎解きのみならず、謎解きを活用したワークショップや物販コーナーなど、子どもから大人まで楽しめるコンテンツをつくりました。「謎解きテスト」では、お子さまと一緒に来店している保護者のスマホを使いながら、自分たちだけで謎解きを楽しめるように設計し、謎解きがクリアするとLINE上でデジタルバッジが貰える仕組みになっています。

イベント期間中は、他のフロアにも「お試し謎」としてサンプルの例題を展示し、イベント会場へ誘導させるとともに謎解きイベントの参加を促すことにもつながりました。

まとめ

今回は、商業施設における回遊施策についてご紹介しました。回遊施策は、顧客の滞在時間を延ばし、売上向上や顧客満足度の向上に貢献する施策です。この施策を成功させるためには、顧客のニーズを考慮したイベントやキャンペーンの実施、顧客フィードバックの収集と活用が不可欠です。顧客の声に耳を傾け、新しいアイデアを取り入れながら、回遊施策を展開していくことが重要です。ぜひ参考にしてください。

株式会社トリニティ
株式会社トリニティ
2000年よりポイントサービス事業を開始。商業施設やスーパー、ホテルや飲食店など店舗を複数経営している企業に対し、お店のファンを増やすための販促ツールとしてポイントサービスおよび周辺ソリューションを提供しています。