店舗DXって何?成功事例やメリットを解説
目次[非表示]
- 1.店舗DXって何?
- 2.店舗DXには2種類ある
- 2.0.1.(1)実店舗でのDX
- 2.0.2.(2)オンラインでのDX
- 3.店舗DXが求められる背景
- 3.1.(1)人手不足
- 3.2.(2)オンライン販売の拡大
- 3.3.(3)購買行動の変化
- 4.店舗DXを推進するメリット
- 4.1.(1)人手不足を解消できる
- 4.2.(2)従業員教育の効率化
- 4.3.(3)機会損失を防げる
- 4.4.(4)ECサイトを通じてサービスを提供できる
- 4.5.(5)勤怠管理をスムーズに行える
- 5.店舗DXの導入における課題
- 5.1.(1)効果が出るまでに時間がかかる
- 5.2.(2)導入・運用コストがかかる
- 6.店舗DXにおすすめなツール
- 6.1.オンライン接客ツール
- 6.2.キャッシュレス決済ツール
- 6.3.予約管理ツール
- 6.4.バーチャル店舗
- 6.5.受発注管理ツール
- 6.6.勤怠管理ツール
- 7.店舗DXの事例
- 8.まとめ
店舗DXって何?
店舗DXという言葉のDXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」を指します。英語圏では接頭辞の「Trans」を「X」と書く慣習があるため「DT」ではなく、「DX」と表記されます。また、Transには「~を横断する」という意味があり、同義語の「Cross」を略す際に使われる「X」が略称として用いられるようになりました。デジタルトランスフォーメーションという言葉は長いため、一般的には略称のDXが普及しています。
経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」では、DXを以下のように定義付けしています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること |
店舗DXとは、AIなどのデジタル技術を導入して顧客体験の価値を高めることです。デジタル技術を導入することで、課題とされていた業務の改善や顧客に合った店舗の対応が可能になるなど多くのメリットがあります。
「DXとIT化の違い」については下記の記事で紹介しています。
【DXって何?】成功するDXの進め方をご紹介します!
店舗DXには2種類ある
店舗DXには「実店舗でのDX」と「オンラインでのDX」の2種類があります。
(1)実店舗でのDX
実店舗にDXを導入することで業務の効率化を図ることができます。手作業では非効率的な業務をデジタル化することで従業員の負担を減らし、その他の業務にリソースを割くことが可能になります。
- 会員カードのデジタル化
- キャッシュレス決済
- セルフレジによる無人化
- AIカメラによる店内の動態分析
(2)オンラインでのDX
店舗DXでは、店舗全体をオンライン化することができます。最近ではアプリを活用したオンライン型店舗DXも増えており、店舗に行かなくてもオンライン上でサービスを体験できます。
- ECサイトの構築
- 仮想空間によるバーチャルショップ
- オンライン予約システムの導入
- チャットボットによるお問合せ対応
店舗DXが求められる背景
店舗DXが求められる背景として大きく3つの理由があります。
(1)人手不足
店舗DXが求められる理由の1つに従業員の人手不足が関係しています。店舗運用ではアルバイトやパートといった非正規雇用従業員に支えられていることも多いですが、少子高齢化の影響で働き手が不足しています。そのためデジタル技術を導入することで業務を効率化し、人手不足を補おうとする企業が増えてきました。
(2)オンライン販売の拡大
インターネットの普及に伴い、消費者の生活は多様化しています。また、コロナ禍により、実店舗での接触・対面を避ける必要性が生じたことからオンライン化が進みました。衣類や日用品のオンライン販売が拡大しており、コロナが収束してきた現在でもその傾向は変わらず、顧客は「生活に合った顧客体験」を企業に求めるようになっています。
今までオンライン販売をしてこなかった企業でも自社のホームページにECサイトを構築したり、大手のオンラインマーケットに自社のショップを開設する動きを見せているため、今後もDX化の流れが加速すると言われています。
(3)購買行動の変化
消費者は以前に比べて「お金をかけずにサービスを利用できるか」を考える傾向が強くなっているため、モノが売れない傾向にあります。最近はサブスクリプションなど、所有せずに利用できるサービスの人気も高まっており、今までの販促方法を変えるためにデジタル技術の導入によって新たな価値を生み出すことが求められています。
店舗DXを推進するメリット
店舗DXには実際にどんなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを5つ紹介します。
(1)人手不足を解消できる
上記でも触れましたが、店舗DXが求められる背景の1つに従業員の人手不足が挙げられます。デジタルやデータを活用できる業務をDX化することで業務の分担が可能となり、人手不足の解消が可能です。また、業務の負担が軽減し、労働環境が整えば従業員エンゲージメントの向上にも繋がります。各業界で人手不足が問題視されている今、従業員に対して良い環境を提供することで人材確保にも影響する場合があります。
(2)従業員教育の効率化
従業員教育をDX化することで、教育の効率化やそれに伴うコストが削減できます。従業員の教育は店舗にとっても課題が多く、新人が入るたびに店長や社員が時間をかけて教えています。
しかし、従業員教育にかける時間は、そのままコストに反映されるといわれています。従業員教育にも対応できる店舗DXを導入すれば、店長や社員が全てを教える必要がなくなるため、教育の効率化が可能です。また、教育に割く時間が減れば、コスト削減にも期待ができます。
(3)機会損失を防げる
店舗DXを取り入れることで機会損失を防ぐことが可能です。例えば、飲食店の場合、フードやドリンクを店外で注文し、店頭でスムーズに受け取ることができる「モバイルオーダーシステム」が有効です。店舗の忙しさに左右されずに注文ができるため、機会損失を防げることはもちろん、顧客の利便性も向上します。
また、在庫切れによる機会損失や過剰在庫による廃棄ロスにも店舗DXが有効です。顧客のニーズを予測するツールや、在庫管理システムはこれらの問題を防ぐだけでなく、従業員の業務を効率化することができます。
(4)ECサイトを通じてサービスを提供できる
ECサイトを活用することで、店舗だけでなくオンライン上でサービスを提供できます。店舗の営業時間に関わらず、顧客が商品を閲覧・購入することができるため、顧客体験の向上に繋がります。また、顧客の行動データを収集・分析することで、顧客の嗜好や購買パターンを把握し、よりターゲティングされたサービスやマーケティング施策を展開できます。
(5)勤怠管理をスムーズに行える
2019年4月、労働安全衛生法の改正により企業が従業員の労働時間を客観的な記録によりに把握することが義務化されました。会社の規模に関わらず、すべての企業に適用されるほか、パートやアルバイトを含むすべての従業員が対象となっています。しかし、小売業や飲食業ではシフト制を採用していることが多く、正確に管理することは容易ではありません。従業員の勤怠管理をデジタル化することで、給与の未払いや支払額の間違いといったリスクを回避することができます。また、勤怠の漏れや残業時間、月次の勤務実績などもリアルタイムで表示される場合が多いため、適切な労務管理が可能になります。
店舗DXの導入における課題
上記のようにさまざまなメリットがある店舗DXですが、導入にはいくつかの課題があります。
(1)効果が出るまでに時間がかかる
店舗DXを導入する際、理解しておきたいのが短期間では効果が出ないことです。まず、店舗DXの導入する際には数カ月程度の期間が必要になります。導入後も従業員が慣れるまでに時間がかかるため、新たな業務マニュアルを作成したりと時間的な負担も課題の1つです。その他、定期的に効率化やコストダウンにつながったかをチェックし、うまくいかなかった場合には運用方法を見直す必要があるでしょう。
(2)導入・運用コストがかかる
店舗DXを導入する上で課題の1つにコストが挙げられます。店舗DXは人件費におけるコストダウンを期待できますが、初期導入する際や既に使用しているシステムへの連携にはコストがかかります。導入しても効果が出るまでに時間がかかることを理解した上でコストを投じる必要があります。
店舗DXにおすすめなツール
店舗DXを推進するツールをご紹介します。
オンライン接客ツール
オンライン接客は、デジタル技術を用いて、オンライン上で店舗体験を行う仕組みのことです。従来のECサイトでは、商品購入を検討する際にサイト内の写真や文章だけで商品を比較する必要がありましたが、ビデオ通話を用いた接客サービスを行えば、不安な点や疑問点を直接店舗のスタッフに相談出来ます。また、遠方のため、店舗に直接行くことが難しい顧客にとってもオンライン接客ツールはありがたいサービスです。
キャッシュレス決済ツール
キャッシュレス決済は、現金を使わずに電子的な手段で行う決済方法のことです。クレジットカードや電子マネー、コード決済などを導入することで、現金の取扱いが少なくなるため、売上をデータ化できます。また現金の受け渡し間違いや管理ミスも少なくなるため、店舗側にとって大きなメリットとなります。
さまざまな決済手段に対応したオールインワン端末「stera terminal」なら、キャッシュレス決済や在庫管理、従業員の勤怠管理が利用できます。また、トリニティのポイントサービス「VALUE GATE」ともシステム連携が可能で、ポイント管理からECサイトへの連携まで実現します。
予約管理ツール
予約管理ツールは、電話やメール、Webからの予約情報を一括で管理することができるツールです。リアルタイムで予約管理をすることが出来るため、予約の重複ミスを防ぐことができます。また、Webからであれば、24時間いつでも予約が可能で、空席情報や予約情報を確認できるため、顧客側からしてもメリットがあります。今まで電話やメールでのみ予約を受け付けていた店舗では、従業員の負担を減らすことが出来るでしょう。
バーチャル店舗
バーチャル店舗は、VRや3Dを用いてWeb上に作った店舗のことです。Web上で実店舗と同じ体験を提供することが可能です。仮想店舗を自由に回遊できたり、アバターに話しかけると店舗スタッフに繋がり本当に接客を受けられるなど、実店舗と同じようなショッピング体験を通して商品を購入できるのが、バーチャル店舗の魅力です。
受発注管理ツール
受注管理システムは、注文の受付や受注処理といった受注管理業務を自動化するためのシステムです。在庫管理や請求管理など他のシステムに連携すれば、販売管理業務全体の効率化につながります。また、リアルタイムな情報共有やデータ分析により、売れ筋商品や顧客ニーズに応じた戦略的な運営が可能となるため、顧客満足度の向上と収益の増加が期待できます。
勤怠管理ツール
勤怠管理ツールは、勤怠データの管理や事務作業を自動化するためのツールです。例えばシフト制だとシフト作成に時間がかかったり、不正打刻が問題視されています。人為的なミスを防ぐためにも勤怠管理ツールは有効なツールであり、事務作業を効率化することができます。また、勤怠管理ツールであれば本人しか打刻できない仕組みを作れるため、従業員の意識改善にもつながります。
店舗DXの事例
店舗DXに取り組んでいる業種を紹介します。
アパレル
アパレル業界では以前からECサイトやセルフレジといったデジタル技術を活用していることが多く、大手アパレルECサイトでは、身長や体重を入力すると自分の体にあった商品をおすすめしてくれる「マルチサイズプラットフォーム(MSP)」を開発し、試着ができないというオンライン販売のデメリットを解消しました。
また、実店舗では商品を販売せずに採寸や試着のみを提供するショールーミング型店舗も増えており、全身のサイズを無料で計測できる3Dボディスキャナーや商品情報をチェックできるデジタルサイネージなど、新たな店舗体験を提供しています。
百貨店
大手百貨店ではバーチャルショップを開設し、新たな店舗体験を提供しています。顧客はアプリからバーチャルショップにアクセスし、アバターを操作して買い物を楽しむことができます。バーチャルショップでは実店舗と同じ商品が購入できます。
その他、オンライン接客サービスを導入している百貨店もあります。独自開発した専用アプリを通じてチャットやビデオにて接客したりと店舗DXに取り組んでいます。顧客は気に入った商品があれば、アプリから購入することができるため、地方在住の方や高齢者でも気軽に利用できます。
飲食店
大手飲食店では、レジに並ばなくても事前にモバイルオーダーと決済ができる専用アプリを取り入れ、レジ混雑の緩和に成功させました。レジの対応に時間がかかると従業員の負担だけでなく、顧客の不満にも繋がります。アプリで近隣の店舗を検索し、注文することでレジの回転率が上がります。また、行列を気にしなくて済むため、顧客満足度にもつながりました。
まとめ
今回は、店舗DXについて紹介しました。店舗DXは、店舗をデジタル化させることではなく、デジタル技術の導入によって顧客の体験価値を向上させることを目的としており、今後、店舗ビジネスを成功するためにはデジタル技術の導入が肝となります。同業他社に遅れを取られないよう、今のうちから店舗DX を進めてみてはいかがでしょうか。