LTV(ライフタイムバリュー)の重要性や計算方法を徹底解説!
目次[非表示]
- 1.LTV(Life Time Value)とは
- 1.1.LTVが重要視される背景
- 1.1.1.成熟市場における新規顧客獲得の難しさ
- 1.1.2.サブスクリプションビジネスの拡大
- 1.1.3.「One to Oneマーケティング」が主流化
- 2.LTVはどうやって計算するの?
- 2.1.メーカーや小売業などの場合
- 2.2.サブスクリプションの場合
- 2.3.LTVとCACの指標
- 3.LTV向上のためのマーケティング施策とは
- 3.1.LTV向上のための4つの施策とは
- 4.LTVを向上させるにはマーケティング支援ツールの導入がお勧め
- 4.1.顧客データを管理する
- 4.2.既存顧客との関係を維持する
- 4.3.解約阻止を適切なタイミングで行う
- 5.まとめ
LTV(Life Time Value)とは
LTVとは、「Life Time Value(ライフ タイム バリュー)」の頭文字を取ったマーケティング用語で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。簡単に説明すると、「顧客が企業との取引開始から取引終了までにどのぐらいの金額を使うか」という意味であり、顧客から生涯にわたって得られる利益のことです。
企業はあらゆる手段で顧客を得る努力をしていますが、「住宅」や「宝石」などの高額商品ではない限り、通常の商品やサービスは一度提供すれば終わりというわけではありません。LTVが高いということは、多くのリピーターがいるということになります。LTVを高めることこそ、企業の今後の利益につながっていきます。
LTVが重要視される背景
できるだけ少ないコストで収益を得られる既存顧客との関係を維持していくために、LTVの向上に取り組む企業は増えています。LTVが重要視され始めた背景について注目してみましょう。
成熟市場における新規顧客獲得の難しさ
現在、日本では商品やサービスの供給が飽和状態であり、市場競争が激化しています。新規顧客の獲得は、既存顧客の維持の約5倍のコストがかかると言われています。新規顧客を中心にマーケティングを行うと、時間やコストが増えるばかりで収益は思うように伸びません。
そこで、自社や商品・サービスのファンになってもらい、既存顧客との関係を良好にすることで、リピート買いや新規顧客の紹介をしてくれる「ロイヤルカスタマー」へ顧客を育成していくことや、顧客ロイヤリティの向上に力を入れ始めたことから、LTVが重要視され始めています。実際に売上全体の80%をロイヤルカスタマー20%が担っていると言われています。
サブスクリプションビジネスの拡大
近年、顧客が月に1回、年に1回などの定期的な課金をすることで商品やサービスが受けられるサブスクリプションビジネスが拡大しています。一般的に「サブスク」と呼ばれ、映画・音楽・書籍・アパレル・食品などジャンルは多岐に渡り、多くの人が利用し始めました。
サブスクリプションは継続的な契約関係があるため、より長期的な収益拡大や安定化が期待できるビジネスモデルです。しかし、サブスクリプションこそLTVの向上が鍵となります。顧客が満足していれば継続的に利用するためLTVは高くなりますが、一度不信感を抱くと解約や他社へ乗り換えられてしまうこともあるため、LTVは低くなってしまいます。
「One to Oneマーケティング」が主流化
顧客は、インターネットの普及により入手可能な情報が急増し、その結果、個々の好みが多様化しています。この変化を受けて、企業は顧客データの収集と分析にさまざまな手法やツールを活用し、個々の顧客に合わせた商品提案が求められています。
従来の企業のマーケティングは広範な対象に向けられていましたが、近年では「One to Oneマーケティング」が主流となり、顧客一人ひとりのニーズに焦点を当てたアプローチが重要視されています。
One to Oneマーケティングでは、顧客のロイヤリティを向上させ、継続的な取引を促進することが可能になるため、LTV(顧客生涯価値)の向上にも貢献します。
LTVはどうやって計算するの?
LTVの計算方法はいくつかあります。なぜなら商材の性質によって、考慮すべき数値が異なるからです。こちらでは、商材の種類による計算方法とCACとの関係について詳しく解説していきます。
メーカーや小売業などの場合
メーカーや小売業の場合は、以下のような計算式でLTVを求めます。この方法で計算する場合は、購買単価、購買頻度、継続期間の平均値で計算します。計算式は以下のとおりです。
LTV(顧客生涯価値) = 購買単価(円) × 購買頻度(回数) × 継続期間(年) |
例えば、1,000円の商品を年6回のペースで3年間購入される「商品A」と、1,000円の商品を年12回のペースで5年間購入される「商品B」では、以下のようにLTVが異なります。
LTV |
計算式 |
|
---|---|---|
商品A |
18,000円 |
1,000 × 6 × 3 |
商品B |
60,000円 |
|
企業としては同じ価格でも、LTVが高い「商品B」に注力していったほうが良いという判断ができます。
サブスクリプションの場合
サブスクリプションは、利用の期限があらかじめ決まっていないため、平均継続期間の予測が難しいサービスです。そこで、LTVを計算する際には解約率を考慮します。解約率の計算式は以下のとおりです。
解約率(%)= ひと月あたりの解約件数(件) ÷ 月初の総顧客数(件) × 10 |
例えば、月初の総顧客数が500件あり、同月の解約件数が25件の場合の解約率は、以下のような計算式になります。
25 ÷ 500 × 100 = 5 |
サブスクリプションは、一般的に複数のコースを設けますが、LTVを計算する際は平均購買単価で計算します。サブスクリプションのLTVの計算式は以下のとおりです。
LTV(顧客生涯価値) = 平均購買単価(円) ÷ 解約率(%) |
例えば、 平均購買単価が1,000円のサブスクリプションで、解約率が5%だった場合、このサブスクリプションのLTVは2万円になります。
LTVとCACの指標
CACとは「顧客獲得コスト」を意味し、顧客を獲得するために必要なコストを表します。顧客獲得のためにかかった広告費や経費のトータルコストを、新規顧客獲得数で割った値がCACとなります。計算式は以下のとおりです。
CAC(顧客獲得コスト) = トータルコスト(円) ÷ 新規顧客獲得数(件) |
例えば、トータルコストが100万円で新規顧客獲得数が50件だった場合のCACは以下のとおりです。
100万円 ÷ 50件 = 2万円 |
LTVを見る際には、正しい利益が出ているかを判断するために、CACとの割合を検討しなければなりません。割合を検討するには、1顧客あたりの収益性である「ユニットエコノミクス(Unit Economics)」で判断します。ユニットエコノミクスは、以下の計算式で算出します。
ユニットエコノミクス = LTV(顧客生涯価値) ÷ CAC(顧客獲得コスト) |
LTVとCACが健全であるという判断は、一般的にユニットエコノミクスが3以上の場合と言われています。例えば、LTV(150万円)をCAC(50万円)で割ればユニットエコノミクスは「3」となり、50万円を使って3倍の収益を生み出したことになります。つまり、健全な状態というのは、3倍の収益を生み出してからということです。ちなみに、ユニットエコノミクスの数値で以下のような判断ができます。
ユニットエコノミクスの数値 |
現在の状態 |
---|---|
ユニットエコノミクスが「1」を下回っている |
赤字になっている状態 |
ユニットエコノミクスが「1」を上回っている |
利益は出ている状態 |
ユニットエコノミクスが「3」以上 |
最適な状態 |
ユニットエコノミクスが「1」を下回るということは、かけた顧客獲得コストよりも収益が下回る状態なので赤字であると言えます。
LTV向上のためのマーケティング施策とは
ここまではLTVの意味や特徴、活用場面や計算方法について解説しました。ここからは、LTV向上のために効果的なマーケティング施策についてご紹介します。
LTV向上のための4つの施策とは
LTV向上の施策はいくつかあります。こちらでは、代表的な4つの施策について、詳しくご紹介していきます。
顧客単価を上げる
単純に考えて、顧客1人当たりの単価が上がれば自ずとLTVは上がります。しかし、商品そのものを値上げすることによって、顧客が離れてしまうこともあるでしょう。そこで、値上げをせずに顧客単価を上げる「アップセル」や「クロスセル」などの施策が有効です。
アップセルは、既存の商品やサービスよりも上位グレードの商品やサービスを購入してもらう方法で、クロスセルは、既存の商品やサービスと関連性の高いものを合わせ買いすることによって購入単価を上げる方法です。ハイグレードな選択肢を増やす、一緒に使えばさらに便利になるなどの付加価値を与えて、顧客単価を上げていくのが有効な施策と言えるでしょう。
購入頻度を上げる
顧客の購入頻度が1回から3回に増えれば、LTVは上がります。しかし、何らかの施策を打たない限り、購入頻度は上がりません。
例えば、商品が無くなるタイミングでリマインドメールを配信して、商品の買い逃しや他社製品への乗り換えを防ぐ方法があります。ただし、頻繁に連絡をし過ぎるとマイナスイメージになることがあるので注意が必要です。
弊社のポイントサービス「VALUE GATE」では、会員ランクや属性に絞ってからターゲットに合わせた配信が可能です。クーポンやキャンペーンなどのお得な情報を配信することで顧客の購買意欲を高めリピーターに繋がりやすくなります。
継続期間を伸ばす
購入単価が低い場合でも、継続期間を伸ばすことでLTVの向上が期待できます。具体的な施策としては、アフターサービスやサポートを強化する、顧客が求める情報を掲載したメルマガを継続的に配信する、ポイントやユーザーランクなどの制度を導入するなどです。
顧客側のメリットを増やすことによって、商品やサービスの価値を上げ、継続期間を延ばします。解約率が高い場合は、解約する理由をヒアリングし、問題点を探って解決していくことも大切です。
コストを下げる
LTVを向上させるためには、コストを下げて収益率を上げるのも有効です。しかし、商品の原材料などのコストを落とすと品質が落ちてしまい、顧客満足度が下がってしまう可能性があります。顧客獲得や維持に掛かるコストを見直し、費用対効果が低いものをカットする、マーケティングを効率的に行うなどの対策が必要となります。
LTVを向上させるにはマーケティング支援ツールの導入がお勧め
LTVを向上させるためには、既存顧客のデータを活用してマーケティングに活かしていくのがおすすめです。有効的な方法として、MA(マーケティングオートメーション)/SFA(セールスフォースオートメーション)/CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の導入が向いています。マーケティング支援ツールの活用目的は以下の通りです。
顧客データを管理する
新規客と既存客に同じ商品をアプローチする場合、同じ戦略では上手くいきません。既存客は既に商品の内容や特徴を知っているからです。マーケティング支援ツールを導入することで、顧客の属性をはじめ、購入履歴や行動情報などのデータを一元管理することができます。また、既存顧客に合わせた内容を最適なタイミングでアプローチできるようになります。
既存顧客との関係を維持する
既存顧客に対して定期的に連絡を行い、継続的なフォローを行っていくことは、両者の良好な関係を維持します。例えば、顧客の履歴によって、SNSでの情報発信や定期的なメルマガ配信、イベントへの招待などの情報提供を行うことで、顧客満足度につなげています。
解約阻止を適切なタイミングで行う
マーケティング支援ツールでは、顧客が離脱や解約に至りそうなタイミングを察知して対策することも可能です。例えば、顧客にとって価値のある情報を提供する、クーポンやプレゼントなどのキャンペーンの知らせを送る、解約を阻止するためのコンタクトを取る、解約阻止コンテンツの提供などが挙げられます。適切なタイミングで対策を抜けなく行うことで、解約を回避できることもあります。
まとめ
市場が飽和状態である今、低コストで収益が見込める既存顧客を大切にする動きが出ています。そのためにも、LTVは重要な目安となります。今回はLTVの特徴をはじめ、活用方法や算出方法、LTV向上の施策について詳しく解説しました。ぜひ、マーケティング活動の参考にしてください。