タッチポイント(顧客接点)とは?重要性や設計方法、成功事例を紹介
目次[非表示]
- 1.タッチポイント(顧客接点)について
- 2.タッチポイントとは
- 2.0.1.オンラインのタッチポイント
- 2.0.2.オフラインのタッチポイント
- 3.タッチポイントの重要性
- 3.1.認知度を高める
- 3.2.ブランドイメージの向上につながる
- 3.3.顧客満足度(CS)の向上に期待できる
- 4.タッチポイントの設計方法
- 4.1.(1)ブランドイメージを明確にする
- 4.2.(2)ペルソナの設定
- 4.3.(3)カスタマージャーニーマップを作る
- 4.4.(4)施策の実行と効果測定
- 5.タッチポイントを強化する3つのポイント
- 5.1.(1)特定のチャネルだけに集中しない
- 5.2.(2)各チャネルで一貫した戦略を持つ
- 5.3.(3)各チャネルごとの特性を知る
- 6.タッチポイントの成功事例
- 6.1.株式会社良品企画(購入前)
- 6.2.スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社(購入時)
- 6.3.アコム株式会社(購入後)
- 7.購入後のタッチポイントには顧客管理が重要
- 8.まとめ
タッチポイント(顧客接点)について
みなさんは、お買い物をするとき、商品やサービスだけでなく、そのお店やブランドとの関わり方も大事だと感じたことはありませんか?そのお店やブランドとの関わり方を表す言葉が「タッチポイント(顧客接点)」です。
では、タッチポイントとは具体的にどういう意味なのでしょうか。まずはタッチポイントが指す事柄や混合されやすい言葉との違いを解説します。
タッチポイントとは
時系列 |
オンラインのタッチポイント |
オフラインのタッチポイント |
購入前 |
・Webサイトやオウンドメディア |
・TVCM |
購入時 |
・ECサイト |
・店舗 |
購入後 |
・アプリ |
・電話(カスタマーサポート) |
タッチポイントは、企業や商品、サービスと顧客とを結びつける重要な「接点」です。タッチポイントには、店舗での接客のような直接的な接触だけでなく、チラシやパンフレットなどを通じた間接的な接触もあります。また、企業が発信する公式ホームページやSNSもあれば、利用者の口コミのようにコントロールできないタッチポイントも存在します。
ここでは、オンラインのタッチポイントとオフラインのタッチポイントに分けて解説します。
オンラインのタッチポイント
オンラインのタッチポイントは、インターネットを使用したタッチポイントで、公式ホームページやSNS、Web広告などが挙げられます。
オンラインのタッチポイントでは、顧客の行動をデータとして取得・蓄積が可能なため、顧客の行動を可視化し分析するのに役立ちます。例えば、公式ホームページやECサイトのアクセス解析により、よく閲覧されている商品ページや離脱率の高いコンテンツなどが把握できます。同様に、メールマガジンでは到達率や開封率などのデータを取得・分析することができます。
また、直接顧客に接する必要がないため、天候や地域、時間帯に左右されずに活動できるのも大きなメリットです。
オフラインのタッチポイント
オフラインのタッチポイントでは、インターネットを使用しない直接的なタッチポイントで、店舗での接客や展示会、チラシ、ダイレクトメール(DM)などが挙げられます。
オフラインのタッチポイントでは、顧客と直接コミュニケーションをとれるため、企業の印象を強く残しやすいのがメリットです。特に対面の場合、会話の内容や態度から相手の感情やニーズを把握しやすく、効果的な情報収集が可能です。しかしタッチポイントによっては広告費や人件費などのコストが大幅に増加する場合もあるため注意が必要です。
タッチポイントの重要性
ここからはタッチポイントの重要性について解説します。
認知度を高める
タッチポイントは、ブランドや商品の認知度を高めます。タッチポイントを積極的に提供することで、その商品やサービスを必要としている人の目に触れる可能性が高まります。
例えば、Web広告やブログ記事、展示会などが挙げられます。タッチポイントを増やすことで認知とともに商品やサービス、企業へのイメージも高まり、集客がスムーズになります。
ブランドイメージの向上につながる
企業は、顧客との関係を築く際に直接的・間接的な接点を通じて接触します。商品購入時の体験や問い合わせ対応、アフターサービスといったタッチポイントは顧客に良い印象を与え、ブランドイメージの向上に貢献します。
これらのタッチポイントを一貫して提供することで、企業の信頼性や質の高さを強調することができます。
顧客満足度(CS)の向上に期待できる
顧客満足度(Customer Satisfaction)とは、企業が提供する商品やサービスが、顧客の満足度(期待値)にどのくらい応えられているかを表す用語です。
顧客満足度を向上させるには、顧客とのコミュニケーションやサポートといった顧客体験が欠かせません。タッチポイントを通じて提供される顧客体験は、顧客満足度を向上させ、長期的な顧客ロイヤルティーの構築につながります。
例えば、商品を使い終わるタイミングで広告を打つ、カートに商品が入ったまま数日経過している顧客に対してクーポンを配信するなど、顧客の需要やタイミングを見計らった効果的な宣伝やアプローチがとても重要です。そのためには、購入後も顧客と良好な関係性を維持する必要があります。これにより顧客満足度が向上し、継続的な利用を促進し、顧客生涯価値(LTV)を高めることが期待できます。
【お客さま目線で考えて!】顧客満足度向上に繋がる5つのポイントをご紹介
タッチポイントの設計方法
(1)ブランドイメージを明確にする
自社のブランドイメージを明確にすることにより、企業として一貫性のあるメッセージを伝えるための施策を実施しやすくなります。ブランドイメージに応じて、タッチポイントとして用意するコンテンツの内容や発信するチャネルを工夫する必要もあります。
具体的には、「信頼性と安全性」を強調するブランドイメージを考えてみましょう。この場合、製品の質や事例、専門家の寄稿記事などが適しています。使用するチャネルは、信頼性の高い業界専門誌やセキュリティ関連のウェビナーなどが挙げられます。
ブランドイメージと一貫性のあるタッチポイントを構築することで、顧客により強い印象を与えることが可能です。
(2)ペルソナの設定
タッチポイントを設計する際には、架空のユーザー像である「ペルソナ」の設定が重要です。ペルソナの設定は、ターゲットが自社のサービスを「いつ・どこで・どのようにして接点を持つのか」が明確になるため、タッチポイントを設定するうえで有効な方法です。名前や性別、年齢などの基本プロフィールに加え、ライフスタイルや価値観に関するさまざまな項目を設定します。
【ペルソナの項目例】
- 職業
- 家族構成
- 居住地
- 休日の過ごし方
- 利用しているSNS
- 趣味
- よく閲覧するサイト
- 好きなブランド
(3)カスタマージャーニーマップを作る
ペルソナを設定した後は、カスタマージャーニーマップを作成します。カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品を認知してから購入するまでの一連の流れを可視化したものです。顧客が商品を認知してから購入するまでの一連の流れを可視化することで、各フェーズで考えられるタッチポイントを想定できます。商品やターゲット層、目的により顧客体験は変化するため、状況に応じて適切なタッチポイントを配置しましょう。
(4)施策の実行と効果測定
カスタマージャーニーマップを基にタッチポイントを設定したら、具体的な施策を立てます。また、カスタマージャーニーマップに基づくストーリーは、あくまで推測なため、施策実施後には実際にユーザーの反応を見ながら各タッチポイントの効果を確認し、効果測定を行う必要があります。状況に応じてチャネルを変更するなど、タッチポイントの最適化を目指します。
タッチポイントを強化する3つのポイント
タッチポイントを強化するために押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
(1)特定のチャネルだけに集中しない
タッチポイントを強化するには、特定のチャネルだけに集中するべきではありません。デジタル化の時代においては、複数のチャネルを同時に活用することが重要です。
実店舗や通勤途中の広告で自社を知る消費者もいれば、SNSでブランドを知る人もいるため、接触するチャネルは多様になっています。また、テレビを見ない人も増えており、「TVCMを打てば認知度が上がる」という時代ではありません。企業は自社ブランドの認知度を高めるために、公式ホームページやSNS、ECサイトやウェビナーなど、あらゆるチャネルを持つ必要があります。複数のチャネルを活用することで、より多くのタッチポイントをつくれます。
また、最近ではインフルエンサーを活用することも一つの手段と言えます。インフルエンサーとフォロワーには、既に信頼関係が構築されている傾向があるため、インフルエンサーマーケティングは顧客に安心感を与えることができます。インフルエンサーが消費者として発信する情報は説得力が高く、見ているユーザーの興味・関心をひき、共感の獲得に貢献してくれる点は大きなメリットといえるでしょう。自分が支持しているインフルエンサー発信の情報であれば、ユーザーは目を留め、「あのインフルエンサーが言っているなら・・・」と、情報を信用して取り入れるのです。ブランドが認知されるだけではなく、「自分も商品を使ってみたい」「真似してみたい」「同じものを持ちたい」と思うユーザーの増加が期待できます。
(2)各チャネルで一貫した戦略を持つ
SNS、DM、チャットなどの複数のチャネルを活用した場合、ブランドイメージに基づいた、一貫した戦略が必要です。例えば、高級路線で攻めるチャネルと親近感があり、くだけたイメージを与えるチャネルとでは、同じ商品でも異なるイメージを与える可能性があります。顧客は疑問や迷いを感じると、購買を躊躇する傾向があるため、与えるイメージの一貫性を重要視しましょう。
(3)各チャネルごとの特性を知る
各チャネルにはそれぞれ特徴や効果が異なるため、特性を理解しておく必要があります。顧客はどのチャネルでも同じ目的や行動を取るわけではありません。「自分の悩みを解決できる商品が欲しい」「口コミや評判を知りたい」というように、顧客がどのようなニーズや悩みを持ってそのチャネルを利用するか、カスタマージャーニーにおけるプロセスの違いも考慮する必要があります。
例えば、LINEはプッシュ通知が可能で開封率が高く、クーポンやメルマガ代わりとして有効です。140字以内でコンパクトに情報を伝えることができるXは、リツイート機能による高い拡散力がありますが、頻繁にツイートしなければ情報が埋もれてしまいます。画像や動画が主体のInstagramは、カタログ代わりになり、ユーザーに見つけてもらうためのハッシュタグ検索機能があります。
タッチポイントの成功事例
ここからは実際の成功事例を、購入前・購入時・購入後の時系列に沿ってご紹介します。
株式会社良品企画(購入前)
無印良品は、自社のスマートフォンアプリ「MUJI passport」を活用し、購入前のタッチポイントの創出に成功しました。購入時にアプリを提示することでポイントが貯まる仕組みが一般的ですが、無印良品では来店せずにアプリにチェックインするだけでポイントがもらえる仕組みを導入しました。
MUJI passportを通じて購買前の顧客と接点を持つようになった無印良品は、活用方法の1つとして「実際に来店しなくても無印良品を毎朝思い出してもらう」という戦略を立てました。MUJI passportは、店舗から離れていてもログインでき、1ユーザーあたり、1ヵ月に約4回利用されています。無印良品はモノのシェアを高めるよりも、タッチポイントを作り、顧客との関係を築くことを重要視しています。
スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社(購入時)
スターバックスは、購入時の顧客体験を極めた結果、コーヒーやフードだけでなく、購買体験そのものが提供価値として認められ、スターバックス体験(感動体験)として知られるようになりました。
店舗を「サードプレイス(第3の空間)」として位置付け、ゆったりとしたソファや流れる音楽など、居心地の良さを追求することで、コーヒーという商品以上の体験を提供しています。また、スターバックスはコーヒーやドリンクの詳細なレシピを持つ一方で、接客方法についてはマニュアルが存在しないことで有名です。顧客とのつながりを大切にし、接客する際にはそれぞれがオーナーシップに基づいて行動しています。
アコム株式会社(購入後)
アコムは、カードローンやキャッシングサービスを提供する金融業として、内部のシステム統合によって顧客対応を一元管理し、顧客1人あたりの対応時間の削減に成功しています。具体的には、申込受付を担当するコンタクトセンターと、サポートを提供するサービスセンターのシステムを統合し、情報処理を効率化することで顧客1人あたりの対応時間を短縮しました。その結果、顧客対応数が増えて業績の改善につながっています。
金融業界では、借り入れや返済などの相談が頻繁にあり、タッチポイントの質が極めて重要といわれています。アコムは新たに生まれた時間をタッチポイントの強化にあてています。
購入後のタッチポイントには顧客管理が重要
購入後のタッチポイントとして、ポイントサービスやクーポン、メルマガなどがありますが、トリニティのVALUE GATEならそれらの施策がトータルで実現可能です。
VALUE GATEではポイントの付与・利用・取消などの基本的な操作に合わせて、顧客情報を管理することができます。また、販促機能として電子クーポンが配布できます。店舗側が作成したクーポンをメールなどで配信することで会員にご利用いただけます。ポイント端末や管理サイト上から利用履歴を取得できるので、効果検証することも可能です。
まとめ
今回は、タッチポイント(顧客接点)の基本や重要性、設計方法を解説しました。さまざまなチャネルが存在する今、企業はオンライン・オフラインそれぞれのタッチポイントを強化する必要があります。
直近で話題になったことといえば、2024年4月10日、NTTドコモと通販大手のアマゾンジャパンがアマゾンでの買い物でdポイントがたまるサービスの発表です。ドコモはアマゾンと協業することで、リアルの店舗に加えてオンラインでのタッチポイントを強化し、dポイントの利用拡大を図ることが狙いとされています。
企業の皆さんも効果的なタッチポイントを増やし、ぜひ今後のビジネスに活かしてください。