【個別対応が鍵】今注目のパーソナライゼーションとは?メリットや成功事例を紹介
目次[非表示]
- 1.パーソナライゼーションとは
- 2.カスタマイゼーションとの違い
- 3.パーソナライゼーションが注目される理由
- 3.1.AI技術の進歩
- 4.パーソナライゼーションのメリット
- 4.1.顧客ロイヤルティの向上
- 4.2.マーケティングの効率化
- 4.3.見込み顧客の掘り起こし
- 5.パーソナライゼーションのデメリット
- 5.1.プライバシーの懸念
- 5.2.ツールなどの技術的課題
- 5.3.情報の過剰な絞り込み
- 6.パーソナライゼーションに必要な3つの要素
- 6.1.(1)デモグラフィック(人口統計学的属性)
- 6.2.(2)コンテキスト(背景情報)
- 6.3.(3)ビヘイビアー(行動)
- 7.パーソナライゼーションの成功事例を紹介
- 7.1.Google検索やYoutube
- 7.2.ふるさと納税さとふる
- 7.3.Amazonプライムビデオ
- 8.まとめ
パーソナライゼーションとは
パーソナライゼーションは、顧客一人ひとりに合わせて商品やサービスを提供する手法です。顧客の興味や過去の行動、好みなどの情報を活用し、個々のニーズに合わせて商品やサービスを選定・提供することを目指します。これにより、顧客は自分にぴったりの選択肢を簡単に見つけることができるため、顧客満足度の向上やLife Time Value(顧客生涯価値)の最大化に繋がります。
カスタマイゼーションとの違い
カスタマイゼーションは、顧客自身が自分の好みに合わせた設定を行い、商品やサービスを選ぶプロセスです。例えばウェブサイトのカスタム設定や絞り込み表示、製品オプションの追加などが該当します。
一方で、パーソナライゼーションでは、企業が顧客の行動履歴などをもとに商品を選んで提案します。そのため、顧客は自分のニーズに合わせて商品が選ばれていることに気づかないこともよくあります。この一連のプロセスは、顧客が見ることのできないバックエンドで実行されています。例えばウェブサイトのおすすめ商品などが該当します。
パーソナライゼーションが注目される理由
パーソナライゼーションが注目される背景には何があるのでしょうか。ここからは、パーソナライゼーションが注目される理由を解説します。
情報収集手段の多様化
以前は、テレビCMやラジオ広告といった一方的なマスマーケティングが効果的でしたが、現在はインターネットやSNS(X、Instagram、Facebookなど)の普及により、情報収集の方法が多様化しました。これにより、顧客は企業からの情報だけでなく、自ら検索し、必要な情報を収集・比較できるようになりました。このような多様化により、不特定多数にアプローチする広告だけでなく、顧客のニーズに合わせたパーソナライゼーションが重要になっています。
顧客体験の重視
顧客体験は、別名でカスタマーエクスペリエンス(CX)とも呼ばれます。この概念は、顧客が商品やサービスを実際に体験し、自らの視点からその価値を評価することを指します。ここでの「価値」とは、商品やサービスに関するすべてのやり取り、購入前の対応から購入後のサポートまでを含みます。
情報収集手段や価値観の多様化が進む現代では、商品やサービスの実質的な価値だけでなく、顧客体験に対する重要性が増しています。パーソナライゼーションを通じて、顧客は自分のニーズに最も適した「上質な体験」を得ることができ、それが良いCXにつながります。
AI技術の進歩
AI技術は膨大なデータを高速かつ効率的に処理する能力を持ち、これにより顧客の個別の嗜好や行動履歴を迅速に分析し、顧客に合わせた提案を行うことが可能です。また、機械学習アルゴリズムの進化により、AIはデータから傾向やパターンを学習し、顧客の行動を予測します。
また、AI技術はリアルタイムでデータを処理し、顧客の行動に即座に対応するため、顧客がウェブサイトを訪れる度に、最新のデータをもとにパーソナライゼーションを提供できるのが特長です。
パーソナライゼーションのメリット
パーソナライゼーションによって企業側が得られる3つのメリットをまとめました。
顧客ロイヤルティの向上
1つ目のメリットは、顧客が自分のために何か特別なことをしてくれていると感じることで、その人の満足度が向上し、同時に信頼関係が築きやすくなるということです。
例えば音楽配信サービスには、パーソナライゼーションの活用があります。この機能では、ユーザーがこれまでに聴いた楽曲や好きなアーティストを元に、自動的にオリジナルのプレイリストが作成されます。ユーザーは毎回曲を選ぶ手間が省けるだけでなく、新しい音楽との出会いも期待できます。さらに、自分だけのプレイリストができることで特別感を味わえ、その結果、顧客の満足度が飛躍的に高まります。
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マーケティングの効率化
2つ目のメリットは、マーケティング業務の効率化に大いに役立つことです。これまでのマスマーケティングが広範囲にアピールするのに対し、パーソナライゼーションは興味を持っている顧客を事前にリサーチできるため、コストを削減しつつ、より効果的な結果を得やすくなります。ターゲットやサービス内容、タイミングなどを細かく設定できるため、広告宣伝費の節約に寄与します。
さらに、パーソナライズ化されたアピールを繰り返すことで蓄積された情報を活用し、より精度の高いマーケティング戦略を展開できます。
見込み顧客の掘り起こし
3つ目のメリットは、パーソナライゼーションの機能により、顧客が自覚していない潜在的なニーズを見つけ出せることです。
例えば、商品1を購入した際に、それに適した別の商品2を自動的におすすめする仕組みがあります。この場合、顧客が最初から商品1について検索していたとしても、商品2の存在を知らないことがあります。顧客が自身で気づいていないニーズにアプローチすることで、「こんな商品があるなら購入してみたい」といった新しいニーズを引き出すことができ、顧客の興味を引き出すきっかけとなります。
パーソナライゼーションのデメリット
デメリットとして次の3つが挙げられます。
プライバシーの懸念
1つ目のデメリットは、顧客が自分の情報がどのように利用されているか、プライバシーに対する懸念を感じることです。個人の好みや行動に基づいて情報を収集し、提供される体験は一方で利便性をもたらしますが、同時に顧客はそのプロセスが透明でない場合不安を感じることがあります。
パーソナライゼーションは個人情報の適切な取り扱いや透明性の確保が重要です。企業やサービス提供者は、顧客のプライバシーを尊重し、データの安全性を確保するための適切な措置を講じる必要があります。
ツールなどの技術的課題
2つ目のデメリットは、技術的な課題が伴うことです。個人情報を管理するための顧客管理システムやマーケティングに応用するためのMAツール、AIとの連携などこれらのツールやシステムの導入には技術的な要素が絡みます。システムの連携や新たなサービスの検討など、さまざまな課題をクリアしていく必要があります。これには十分なリソースや専門知識が必要なため、企業はこれらの課題に対処しながら、パーソナライゼーションを実現するための技術的な基盤を確立する必要があります。
情報の過剰な絞り込み
3つ目のデメリットは、情報の過剰な絞り込みにより、顧客が新しい情報や視点に触れる機会が制限される可能性があることです。個々の顧客の好みや行動に基づいて提供される情報が過度に特定化されると、その顧客が関心を持つ可能性の低い領域や情報が排除される可能性があります。これにより、顧客は新しいアイデアや情報に触れる機会が減り、情報の多様性が損なわれる恐れがあります。
パーソナライゼーションに必要な3つの要素
パーソナライゼーションを有効に活用するためには、「デモグラフィック(人口統計学的属性)」「コンテキスト(背景情報)」「ビヘイビアー(行動)」といった3つの要素が重要です。これらの要素について詳しく説明します。
(1)デモグラフィック(人口統計学的属性)
デモグラフィックとは性別、年齢、居住地域、所得、職業、家族構成など人口統計学的な属性の総称のことです。デモグラフィックを活用することで、顧客のグループを特定し、それぞれのグループに合ったサービスや商品を提供することができます。この情報を得る手段として、アプリの利用開始時に必要な情報を入力してもらう方法や、SNSのアナリティクス機能の活用、アンケートを取るなどの方法があります。
(2)コンテキスト(背景情報)
コンテキストとは、通常「文脈」を意味する英単語ですが、IT業界においては顧客が商品やサービスと接触する際の状況や環境を表します。例えば住んでいる地域、購入した場所や時間、季節、購入経路などすべての背景情報を指します。コンテキストを考慮することで、顧客が特定の状況やニーズに応じて異なる反応を示すことを理解し、適切なタイミングや状況でパーソナライズされた商品やサービスを提案することができます。
(3)ビヘイビアー(行動)
ビヘイビアーは、顧客の行動履歴や行動パターンを指します。たとえば、顧客がウェブ上で検索したキーワードを考慮して、その顧客の趣味や関心に合った商品をオススメ表示することがあります。ビヘイビアー(行動)を活用することは、パーソナライゼーションを進化させる上で非常に重要な手段となります。
パーソナライゼーションの成功事例を紹介
ここからは、よりパーソナライゼーションのイメージが湧きやすい事例についてご紹介します。
Google検索やYoutube
GoogleやYouTubeの検索エンジンは、最も身近なパーソナライゼーションの例です。顧客が過去に検索した内容から学び、顧客に合った検索結果を提供しています。つまり、同じ単語を検索しても、それぞれの顧客に最適な結果が表示されるようになっています。この個別化された検索結果により、Googleの検索エンジンは顧客満足度を向上させ、広く普及している検索エンジンの中で最も利用されています。
ふるさと納税さとふる
ふるさと納税のさとふるは、CMでもおなじみです。さとふるでは、ウェブサイトの訪問者を「初回来訪者」「非会員来訪者」「寄付実績のある会員」「寄付実績のない会員」の4つに分類し、それに合わせてウェブページの表示を調整しています。初めて来訪した人には特に人気のある商品をアピールし、一方で何度も寄付実績のある会員には新着の返礼品をおすすめするなど、ウェブ上でのパーソナライゼーションを実施。その結果、コンバージョン率が2倍に跳ね上がりました。
Amazonプライムビデオ
Amazonプライムビデオは視聴履歴に合わせて、おすすめの映画やアニメを提案してくれるため、自分好みの動画を見つけることができます。また、字幕や吹き替えなどの言語オプションがあるため、海外映画も楽しむことができます。これらの取り組みを通じて、Amazonプライムビデオは人々に愛されるサイトやメディアを目指しており、充実した視聴体験を提供しています。
まとめ
今回はパーソナライゼーションについて説明しました。パーソナライゼーションは、提供する情報を最適化することで、マーケティングの効率向上や顧客満足度の向上などのメリットをもたらします。従来の一般的なマスマーケティングから、各顧客のニーズに合わせたコミュニケーションが注目され、企業にとってはパーソナライゼーションが顧客との良好な関係を築くための重要な手段となっています。ぜひ参考にしてみてください。