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ロイヤルティを高める!百貨店が実践する集客戦略


目次[非表示]

  1. 1.百貨店とは
    1. 1.1.ショッピングセンターとの違い
  2. 2.百貨店の3つの種類
    1. 2.1.(1)都市型
    2. 2.2.(2)鉄道型
    3. 2.3.(3)地域型
  3. 3.百貨店の現状と課題
    1. 3.1.市場規模の縮小
    2. 3.2.デジタル化への課題
    3. 3.3.新しい戦略の必要性
  4. 4.百貨店における集客方法
    1. 4.1.(1)広告
    2. 4.2.(2)イベント
    3. 4.3.(3)セール
    4. 4.4.(4)オンラインストア
    5. 4.5.(5)SNS
    6. 4.6.(6)メールマガジン
  5. 5.百貨店集客の事例
    1. 5.1.鶴屋百貨店
    2. 5.2.松屋銀座
  6. 6.集客後のロイヤルカスタマー育成について
    1. 6.1.(1)百貨店での買い物がお得になる「友の会」
      1. 6.1.1.友の会の特徴
    2. 6.2.(2)百貨店の場以外で顧客に商いをする「外商」
      1. 6.2.1.どうすれば外商顧客になれる?
      2. 6.2.2.外商会員の特典について
    3. 6.3.(3)ロイヤルカスタマー育成には「VALUE GATE」がおすすめ
  7. 7.まとめ

百貨店とは

百貨店とは、1つの建物の中に専門店やブランド店、食料品店、レストランなど、さまざまなお店が入っている大型小売店を指します。日本の大手百貨店と言えば、三越伊勢丹、西武百貨店、高島屋などが有名です。また、経済産業省が実施する商業統計調査の基準によれば、百貨店は下記のように定められています。

衣・食・住の商品群の販売額がいずれも10%以上70%未満の範囲内にあると同時に、従業者が常時50人以上おり、かつ売り場面積の50%以上において対面販売を行う業態


百貨店の業種は「小売業」ですが、売上のほとんどが衣料品であるルミネやパルコといったファッションビルのような形態は、百貨店に属しません。百貨店のほとんどは「百貨店協会」に加盟しており、館内で「全国百貨店共通商品券」を使えるという特徴があります。店舗での販売だけでなく、富裕層から構成される外商顧客によって売り上げを支えられており、一般的な小売店とは営業形態も少々異なります。

ショッピングセンターとの違い

日本ショッピングセンター協会*によると、ショッピングセンターは、以下の4点を満たす必要があります。

1.小売業の店舗面積は、1,500㎡ 以上であること。
2.キーテナントを除くテナントが10店舗以上含まれていること。
3.キーテナントがある場合、その面積がショッピングセンター面積の80%程度を超えないこと。但し、その他テナントのうち小売業の店舗面積が1,500㎡以上である場合には、この限りではない。
4.テナント会(商店会)等があり、広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること。

*出典:一般社団法人 日本ショッピングセンター協会|ショッピングセンター(SC)の定義

ショッピングセンターは売り場面積や店舗数が定められているのに対して、百貨店は業種や従業員数、対面販売の割合が定められているのが大きな違いです。また、百貨店の業種が「小売業」であるのに対して、ショッピングセンターの業種は「不動産賃貸業」に属します。ショッピングセンターは、テナント貸しをした専門店の集合形態です。また、ショッピングセンターは百貨店ではないため、館内で「全国百貨店共通商品券」を使うことができません。

百貨店の3つの種類

百貨店は大きく分けると以下のような種類に分類できます。それぞれの特徴や違いについてチェックしてみましょう。

(1)都市型

都市型とは、都心部を中心に店舗を構えながら地方にも展開し、県庁所在地や政令指定都市などに店舗を構える大手の百貨店を指します。日本全国で店舗を構える大手の百貨店が該当し、「高島屋」「そごう」「三越伊勢丹」などが挙げられます。

(2)鉄道型

鉄道型とは、鉄道会社が母体となり、駅ビルに直結した形で出店している百貨店を指します。駅の近くに出店することで集客力が高まり、都市型に次ぐ事業規模をもちます。「東急百貨店」「西武百貨店」「阪急百貨店」などは鉄道型の百貨店です。

(3)地域型

地域特化型とは、都市型や鉄道型との競争を避け、地域に住む人に向けた「地域密着型経営」を行っている百貨店を指します。地方や新興住宅地に出店する郊外型のビジネスモデルで、地域住民に親しまれる存在を目指しています。自動車を利用するファミリー層をターゲットにしたケースが多く、家具や家電のような大型商品を扱うことで都市型や鉄道型と差別化されています。

一方、地方の人口不足や消費低迷により撤退に追い込まれるなど生き残りが難しくなっています。名古屋の「丸栄」、大分の「トキハ」、熊本の「鶴屋」などは、地域型の百貨店です。

百貨店の現状と課題

日本の百貨店の歴史は100年近くありますが、現在、以下のような問題や課題に直面しています。

市場規模の縮小

近年のオンラインショップの台頭で、百貨店業界は苦境に立たされています。百貨店の総販売額は、過去20年で40%以上減少しています。オンラインショップは、顧客がわざわざ店舗に足を運ぶ必要がないというメリットがあります。店員に話しかけられるのが苦手な顧客にとっては、誰とも会話せずに購入できるのも利点です。また、アパレルブランドやジュエリーブランドではオンライン限定商品を販売していることもあります。

百貨店にも「ラグジュアリーなブランドがある」「丁寧な接客で贅沢感や高級感が得られる」などのメリットがありますが、利用者は金銭的に余裕がある中高年齢層が多くなっています。

地方型の百貨店は、都心へ人口が流入していることを背景に、利用者数が減少していることも問題です。利用者の減少が原因で、撤退や規模の縮小を迫られるケースも増えています。

デジタル化への課題

新型コロナウイルス感染拡大の影響による外出自粛や時短営業によって、百貨店業界は大きな打撃を受けました。コロナ禍での新しい生活様式では「非接触・非対面」が求められ、百貨店の強みである「対面による丁寧な接客」が活かせなくなりました。

そこで、求められたのがデジタル化です。しかし、百貨店側がオンラインショッピングに移行しようとしても、利用者側の顧客が「オンラインショッピングのやり方がわからない」というケースがあります。また「高級品は対面で買いたい」という需要も多いことから、デジタル化に移行しきれていないのも現状です。

関連記事:「店舗DXって何?成功事例やメリットを解説」

新しい戦略の必要性

日本の百貨店は、今後の人口減少や少子高齢化、市場規模の縮小などもあり、新しい戦略の必要性に直面しています。既に、以下のような新しい戦略にチャレンジしている企業もあります。


売り場の強化


・百貨店側が各テナント企業の商品の企画や品揃えを決め、従来よりも売り場の品質を強化する
・経験豊かなコンシュルジュを配置して、接客の強化を図る

脱百貨店

・オンライン化して販売面積を減らし、余った売り場を不動産のように貸し出すことで収入を得る


百貨店における集客方法

百貨店にはさまざまな課題がありますが、そのような課題に立ち向かいながら、以下のような方法で集客を狙うことも可能です。

(1)広告

商品やイベント情報などを以下のような広告で宣伝することで、集客を促すことができます。ターゲットであるかどうかに関わらず、幅広く情報を届けられるため、商品やイベントを知らない人にもアプローチが可能です。

  • 新聞広告
  • 雑誌広告
  • 地域誌(フリーペーパー、ミニコミ誌)広告
  • 交通広告
  • 屋外広告
  • テレビCM
  • Web広告(インターネットやSNS)

(2)イベント

近年、多くの百貨店では、集客や来場者の満足度を高めるために、さまざまなイベントを行っています。特定地域の産物を期間限定で販売する「物産展」は、特に人気のイベントです。夏は沖縄、冬は北海道のように、季節に合わせて開催することもできます。

ほかにも下記のように、さまざまな種類のイベントがあります。

  • 新商品や人気商品などを気軽に楽しめるサンプリングイベント
  • 観覧形式のショーイベント
  • 施設内の滞在時間を伸ばすことが期待できる体験型イベントなど

(3)セール

定価よりも安い価格で購入できるセールは、消費者にとっては嬉しいイベントといえるでしょう。

一般的に、百貨店では、夏季と冬季にバーゲンセールを行います。定期的にセールを行い、広告などで周知すれば、来店客数の増加も期待できます。夏物や冬物が処分できるという点で、百貨店でもメリットのあるイベントです。近年は競合店と差別化するために、バーゲン時期をずらして開催したりする百貨店もあります。

またタイムセールは、セール時間を限定するため、購入促進の瞬発力があるのが特徴です。店内に既にいる顧客に対する購入促進効果があるだけではなく、店舗入口などでタイムセールの告知をすれば、顧客を呼び込むこともできます。

(4)オンラインストア

これまで実店舗のみで営業していた百貨店も、オンラインストアを展開するケースが増えています。例えば、高島屋オンラインストアや三越伊勢丹公式オンラインです。地域や時間を問わずに商品を販売できるようになるため、集客にもつながります。

最近では、オムニチャネルを進める百貨店も増えています。オムニチャネルとは、店舗だけではなく、ECサイト、アプリ、ウェブ、カタログなど、顧客にあらゆる接点(チャネル)で最適な購買体験を提供するマーケティング手法です。

例えばアパレルなどの場合、店頭に希望のサイズや色がなくても、その場でオンラインストアにアクセスし注文することで、顧客の自宅に届くように手配できます。欠品時の機会ロスを防ぐだけではなく、店頭の商品が少ない傾向がある地方店での売上拡大策としても期待されています。対面販売ならではの着回しやコーディネートの提案をオンラインストア上で行えば、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。

(5)SNS

最近ではSNSの公式アカウントを持ち、新商品の紹介やイベント情報を発信する百貨店も増えています。投稿内容が顧客の目的や購買意欲にマッチすれば、集客の増加も期待できるでしょう。SNSは画像や動画を活用できるので、商品の良さや使い方をアピールすることも可能です。期間限定で開催するポップアップショップや物産展などの目玉商品を、画像や動画で紹介することもできます。

(6)メールマガジン

メールマガジンは、顧客とのコミュニケーションを図ったりタッチポイントを作ったりするうえで欠かせません。メールマガジンでセール情報や新商品情報などを配信することで、来店客のリピート率を向上させることができます。メールマガジンを受け取った顧客のみに配信する情報やクーポンなどがあれば、特別感やお得感を与えることもできるでしょう。

百貨店集客の事例

百貨店には、広告やイベントなどさまざまな集客方法があります。こちらでは、集客で成功した2つの事例をご紹介します。

鶴屋百貨店

熊本市にある鶴屋百貨店は、2022年に創業70周年を迎えた歴史ある百貨店です。熊本市は、半径10km圏内に巨大ショッピングモールが乱立している激戦区でもあります。そのため鶴屋百貨店では「徹底した地域密着型の店舗にこだわる」「コンシェルジュサービスで売り場を自由に案内する」などの取り組みを行っています。

特に注目されたのが2021年に行った公式アカウントによる「Tsuruya SNSキャンペーン」です。内容は、企業公式Instagramアカウントをフォローしてキャンペーン期間中の投稿にコメントしたフォロワーの中から、抽選で20名に人気のコスメやファッション雑貨をプレゼントするというものでした。

「キャンペーン期間中の投稿にコメントをする」という条件をつけたことで、「ユーザーからのエンゲージメントが高い企業」という印象を与えることができます。また、公式アカウントにコメントをするのは躊躇しがちですが、キャンペーンをきっかけにコメントすることへの心理的ハードルを下げることにも成功しています。

松屋銀座

松屋銀座では、競合他社との差別化を図るために、文化的なイベントや催事の強化で集客力アップを狙っています。特に根強いファンをもつ以下のようなイベントは、多くの話題を呼びました。

  • 松屋創業150周年記念 利休のかたち 継承されるデザインと心展(2019年開催)
  • 誕生65周年記念 ミッフィー展(2020年開催)
  • TVアニメ「鬼滅の刃」全集中展(2021年開催)
  • OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展(2022年開催)
  • アニメーション 呪術廻戦展「劇場版 呪術廻戦 0」編(2023年開催)

2024年夏には第3弾となるアニメ「鬼滅の刃」の展覧会が開催されます。映像や展示を通じてアニメを振り返り、体験できる内容が告知されています。

集客後のロイヤルカスタマー育成について

ロイヤルカスタマーとは、売上貢献度が高く、企業に信頼を寄せてくれる顧客を指します。顧客がロイヤルカスタマーになれば、自ら店舗の情報発信をしてくれたり売上に貢献してくれたりするだけではなく、新たな顧客となる家族・友人を連れてきてくれることも期待できます。

競合他社との差別化を図るには、集客後のロイヤルカスタマーの育成が重要です。こちらでは、来店してくれた顧客をロイヤルカスタマーに育てるための、百貨店ならではの施策をご紹介します。

関連記事:「ロイヤルカスタマーとは?優良顧客との違いや、育成方法を紹介」


(1)百貨店での買い物がお得になる「友の会」

ロイヤルカスタマー育成には、顧客に付加価値を感じてもらうことが重要です。快適なサービスや優良な商品が企業と顧客を結びつけます。多くの百貨店が提供する「友の会」は、付加価値が高いサービスとして知られています。友の会とは、入会して毎月決められた金額を積み立てることで、満期時に積立金にプラスしてボーナスがチャージされた買い物カードや買い物券が貰えるサービスです。


友の会の特徴

友の会で満期時に受け取れる買い物カードや買い物券は、百貨店内のほぼすべての店舗において、現金の代わりとして利用できます

積立期間や積立金額はいくつかのパターンが用意されていて、自分の好きなコースを選べるのが特徴です。また、友の会会員は、提携施設での優待や割引サービスを受けられることもあります。提携施設は、飲食店、ホテル、エステなど百貨店により異なります。

(2)百貨店の場以外で顧客に商いをする「外商」

外商とは、企業や個人の優良顧客の元に外商担当者が出向き、商品やサービスなどを販売する形態です。百貨店には一般的に外商部という専門部門があり、高額商品を購入する顧客向けにサービスを提供しています。百貨店の売上高に占める外商の比率は2〜3割程で、コロナ禍をきっかけに需要が伸びています。

どうすれば外商顧客になれる?

外商顧客になりたいと思っても、百貨店が定めた条件にそぐわなければ外商顧客になれないケースがほとんどです。一般的には以下のようなルートで外商顧客になれることが多いようです。

百貨店側からの招待

購入実績により百貨店基準を超えると招待状が届く

外商顧客からの紹介

外商顧客からの紹介キャンペーンなど(審査有)

専用窓口での申込​​​​​

外商窓口への申込(審査有


親からの引き継ぎ

親が外商顧客の場合、家族カードの発行や審査によって新たな外商顧客になれることがある

家の購入時

大手のマンションデベロッパー・ハウスメーカーで家を購入した場合、外商案内が届くことがある


外商会員の特典について

百貨店にもよりますが、外商顧客は下記のような項目によって、サービスや優待に違いがあるケースが多いです。

  • ランク
  • 入会した店舗
  • 入会した時期など

入会初年度は一律サービスがついてくることが多く、初年度年会費が無料になったり、外商顧客専用の優待率が付与されたりします。2年目以降は、1年目の実績によってサービスや優待に違いが出る百貨店もあれば、入会時と変わらず同じサービスや優待を受けられる百貨店もあるようです。

(3)ロイヤルカスタマー育成には「VALUE GATE」がおすすめ


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販促機能としては、会員にメールの配信ができます。テキスト形式・htmlから選べ、ランクや属性(年代・性別)などのセグメント抽出をしてからターゲットに合わせた配信が可能です。予約配信を利用してあらかじめ曜日や時間を決めておくことで、タイミング通りに効果的な配信ができます。配信後、開封率をチェックすることで今後の戦略に役立ちます。また、電子クーポン機能もあります。店舗側が作成したクーポンをメールなどで配信することで会員にご利用いただけます。管理サイト上から利用履歴を取得できるので、効果検証することも可能です。

まとめ

今回は、百貨店ならではの集客方法や成功事例を解説しました。全国各地にさまざまなタイプの百貨店がありますが、どの百貨店も市場規模の縮小、デジタル化への移行、新しい戦略の必要性など、さまざまな課題に直面しています。集客に成功しても顧客が定着しなければ、売上の増加は期待できません。顧客をロイヤルカスタマーに育成することによって、売上や集客向上も目指せるでしょう。百貨店ならではの集客後のロイヤルカスタマー育成方法についてもご紹介したので、ぜひ参考にしてください。